戦後73年・伝える記憶4 「語り継ぐ原動力に」 飯田日中友好協会泰阜の木下さん

連載

[ 2018年 8月 21日 火曜日 17時48分 ]

木下さん(左)と泰阜村と方正県との友好提携20周年特別展

 日中平和友好条約締結40周年を記念して、飯田日中友好協会(清水可晴会長)は9月5~9日に、泰阜分村大八浪(ターパーラン)開拓団跡地などを訪ねる訪中事業を計画している。同協会泰阜支部の支部長で、訪中事業の副団長を務める木下藤恒さん(79)も参加メンバーの1人。初めてとなる訪中に「自分の目で見て確かめた上で、戦争の悲惨さ、平和の大切さを語り継ぐ活動の原動力にしたい」と語る。

 泰阜村は1939年から入植を開始し、1100人以上の村民が中国三江省の大八浪へ開拓に赴いた。敗戦後は苛酷な逃避行を強いられ、行方不明者も含め680人余が帰らぬ人となった。

 一方、逃げ延びた先の黒龍江省ハルビン市方正県(ほうせいけん)では、飢えや寒さから救ってくれた歴史的背景があり、97年9月、村はその恩恵に感謝し、さらなる交流と発展促進を目的に友好提携を締結。相互の交流訪問や中学生による学校訪問が続けられ、昨年20周年の節目を迎えた。

 同支部には約50人が所属し、半分ほどが残留孤児など中国からの帰国者。支部長として現在2期目の木下さんは「高齢化により、語り継ぐ時間にも限りがある」とし、支部事業にも平和学習や歴史学習を重点項目に盛り込んでいる。

  ◇   ◇

 入植するか、しないか―。父が軍人として戦争に赴くなか、木下さんが2歳のときに母親に迫られた大きな決断。「幼い赤ん坊を抱えていては無理」と開拓団への参加を断ると、国賊とさげすまれた。木下さんは満蒙開拓へ関わるきっかけになった深い思いをこう語る。「悔しい思いをしたと思う。しかしお袋の決断に感謝している。でなければもうこの世にいなかったかもしれない」。事実、木下さんが暮らす栃城(とんじろ)地区からも半分ほどが入植し、命を落とす区民もいた。

 「戦争だから仕方ないでは片付けられない。どんな人間でも国民に変わりない。命の重さをしっかり考えた政治が必要だった」。村の歴史に深く関わり、多くの尊い命が犠牲になった戦争に強い憤りを感じている。それは国や村、国民、村民に訴えかけるもの。「わが身をつねって人の痛さを知れ。国民はもっと賢くならんといかん」。毎朝、殺人事件の報道を目にするたびに強い思いが込み上げてくる。

  ◇   ◇

 9月の訪中では中国北東部の旧満州に訪れるほか、方正県の人民政府を表敬訪問する。「情けないことに訪中は初めて。この目でしっかり確かめてきたい。その上で人と命、平和について語り継ぐ手伝いができれば」。

(つづく)

  

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