実践働き方改革8 吉川建設 法定外労働短縮へ就業規則改定

連載

[ 2018年 5月 4日 金曜日 12時51分 ]

労働時間の短縮対策を語る吉田部長

 建設業界はこれまで、時間外労働の限度に関する基準「36協定」が定める、労働時間の延長限度基準の適用が除外されてきた。しかし国は昨年3月、働き方改革実行計画の策定において、改正労働基準法施行の5年後に、罰則付き上限規制を建設業にも適用する方針を打ち出している。

 吉川建設(飯田市松尾町)の吉川昌利社長(45)は、「建設業界は、さまざまな業種の企業が関わり一つの工事を完成させるため、労務管理が難しい業態。さらに、天候により作業の進ちょくが大きく左右される一方で、品質はもとより工期も求められるなど、潜在的に労働時間が長くなる要因を抱えている」と現状を指摘する。

 そうした中で新たな上限規制が適用となれば、業界に大きな影響が及ぶことを危惧。「5年後に適用となってから動き出していてはとても対応できない」と、業界内でいち早く、総務統括部の吉田謙一部長(45)を中心に対策の検討を始めた。

 労働時間削減対策を考えるにあたり、吉田部長は労働基準法など関連法を熟知した上で労働実態を把握し、法律に抵触しないよう、労働者の不利益にならないよう注意を払いながら、就業規則の改定や新たな労務管理システムの作成を行った。

 具体的には、1週間の所定労働日数を就業規則上月曜~土曜までの6日とし、1日の所定労働時間を従来の8時間から6時間40分に改定。合わせて72日の年次有給休暇を付与し、日曜日の他に毎週1回の有給取得推奨日を設けた。

 1日8時間以内または1週間で40時間以内が、労基法が定める法定労働時間の範囲。同社は就業規則の改定により、月曜~土曜までの間に1日有給を取れば、その他の曜日が全て8時間労働だったとしても法定外労働が発生しない仕組みを作り上げた。

 吉田部長は「現場のさまざまな状況に合わせてフレキシブルに休日が取れるようになるとともに、法定外労働時間に到達するスピードも抑えられる。これは法改正に柔軟に適応するための、建設業の新たな働き方の創造」と話す。

 実際に昨年6月から新たな就業規則を導入。全社合計で月平均約2000時間の法定外労働時間を法定内にシフトした。一人当たりでは月13・8時間がシフトしたことになる。また、有給取得率も上昇。昨年末には、吉田部長が労働基準監督署の依頼を受け、松本管轄、木曽管轄で、今回の取り組みに関する講演を行った。

 吉田部長は「新たな法令により、建設業は非常に厳しいルール下に置かれる。労働者個々の努力頼みでは限界があるため、会社が本気になって根本のシステムから再構築する必要がある」と力を込めた。

(つづく)

  

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