「一刻も早く復旧治山工事を」下伊那漁協が要望書提出

社会

[ 2010年 4月 24日 土曜日 13時24分 ]

 飯田市松尾明の下伊那漁業協同組合(宮島幹夫代表理事組合長、組合員5427人)は23日、一昨年6月に伊那市長谷地区の三峰川支流「船型沢」で発生した土砂崩落の影響で天竜川本流の鮎漁に大損害が出ているとして、一刻も早く復旧治山工事を完成させるよう関係市町村のバックアップ体制を求める要望書を南信州広域連合長の牧野光朗飯田市長に提出した。急峻な流れの中で大きなアユの友釣りができる天竜川は、過去には年間2万人近い釣り人が訪れていたが、崩落以降の最近2年間は最盛期の5%程度に激減しているという。

 原因は、粘土状の土砂が流出し、アユの稚魚が食べる珪藻類が減少しているため。同漁協では、琵琶湖で養殖された稚魚や天竜川を遡上する海産の稚魚を昨年255万匹(1800万円)放流したが、稚魚のエサとなる苔が生えないため友釣りがほとんどできなかった。数年前の最盛期には5000万円ぐらいの利益が出ていたが、昨年は200万円の赤字を被ったと報告した。

 流出した粘土状の土砂は、降雨のたびに伊那市から下流は太平洋まで長期間、天竜川を白濁した流れにしている。珪藻類の減少に伴う水生昆虫の極端な減少は、アユばかりでなくアカウオやウグイなどの魚族を絶滅の危機にさらしており、天竜川を魚の棲めない環境に悪化させている。

 その影響は、釣り人の減少ばかりでなく、体験教育旅行で人気のあるラフティングや当地の観光の目玉である舟下り、夏の風物詩となっている市田、時又の灯ろう流しや初午裸祭りなどの伝統行事にも悪影響を与えている。天竜川のイメージダウンとなり、宿泊施設や食料品、土産など地域産業経済への影響も計り知れないとしている。

 同漁協では上伊那漁協とも連携して崩落現場を管轄する南信森林管理署(農水省)に復旧治山を働け掛けているが、崩落面積が3・5ヘクタールあり同省の予算だけだと完成に5、6年かかる予定。同漁協では「鮎漁は当組合の増殖事業の根幹。このままの河川状況が続けば、当組合の存続にも影響を及ぼしかねない」と危惧。南信森林管理署のみならず、天竜川を管轄する国土交通省も含め、関係機関に一刻も早く復旧治山工事が完成するための予算付けについて、地元の関係市町村や関係団体のバックアップ体制が必要不可欠だとしている。

 要望に対し、牧野市長は「天竜川の環境の番人として日夜見ていただいており、崩落現場からの細かな泥がアユ釣りや生態系に与えている影響は大きいと感じた。市と広域連合でどのような要望を上げていくか相談、検討したい」と述べた。

 同漁協では「もう1年は放流を試験的に続ける。国交省が入れば工事期間を短縮できる。国土保全上の問題という大きな視点から、国の縦割りにとらわれず国の施策として取り組んでもらいたい」と強調した。

  

関連の注目記事

powered by weblio