三遠南信飯喬道の保全対策、繁殖成功ツガイ数を維持

社会

[ 2010年 7月 31日 土曜日 13時00分 ]

 国土交通省飯田国道事務所(杉井淳一事務所長)は、三遠南信自動車道飯喬道路建設事業について、希少猛禽類との共存を目指した調査、保全対策に関する取り組みのまとめを29日、県庁で発表した。対策検討委員会で委員長を務めた中村浩志信大教育学部教授は「本格的な代替巣の設置など、これまでに例のない対策を講じることで工事実施前と同数の繁殖成功ツガイ数を維持できた」として、里山環境における工事事業の円滑な推進と希少猛禽類の繁殖を両立した貴重な成功事例として報告した。

 調査対象は2008年に供用開始となった飯喬道路1工区(飯田山本IC―天龍峡IC、7・2キロ)で、工事着手直前の99年6月に猛禽類の生息情報が地域住民から寄せられ、その後の調査によって路線近傍で希少猛禽類であるオオタカの生息・繁殖を確認。路線ルートの変更は不可能な段階だったため、飯田国道が対策検討委員会を設置、保全対策について検討・提言することになった。

 巣上へのカメラ設置や定点観察調査、オオタカに発信機を装着して行動範囲などを把握するテレメトリ調査を実施し、保全対策として低音重機の使用、営巣地遠方からの工事着手、工事関係者への啓発を行った。

 特に、営巣環境の代替を目的とした代替巣(人口巣)を計32カ所に設置したところ、工事個所から離れた場所への繁殖誘導に成功。「今後の道路事業に有効な成果を得ることができた」とした。

 その結果、代替巣への繁殖場所の移動やインターチェンジ部造成による行動圏の変化が確認されたものの、繁殖は継続して行われ、工事前と同数の繁殖ツガイ数を確保。中村委員長は「周辺の環境変化にオオタカが順応した結果であり、保全対策により工事の影響が軽減されたことが分かる」と分析し、引き続き、現在工事中の飯喬道路第2工区の保全対策についても提言していく方針。

 

 

 

  

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