県は11日、県内で家畜をめぐる口蹄疫が発生した場合を想定した防疫演習を県庁や各地方事務所で行った。下伊那地方事務所管内では、飯田市上郷黒田の牛舎を模擬発生農場に設定し、周辺で実地演習も展開。県職員らが立ち入り検査や周辺の交通遮断、消毒ポイントの開設などの初動対応を実践形式で確認した。
想定は、同日朝に近隣県で口蹄疫が発生し、発生農場から牛1頭を導入していた同市内の農家への立ち入り検査で3頭の感染を確認。半径10キロを移動制限区域、同20キロを搬出制限区域とし、農場周辺の交通を遮断して消毒ポイントを設けた。
演習では「隣県で発生」の報告を受け「下伊那地域口蹄疫対策現地連絡会議」(管内での発生確認後は対策本部)を同市追手町の県飯田合同庁舎で開催。下伊那地方事務所や飯田家畜保健衛生所、飯田、阿南の両警察署、JAや酪農団体、県獣医師会下伊那支部などの代表者らが集まり、情報収集のほか、発生が疑われる農場周辺の交通遮断や移動・搬出制限予定区域の設定、農場への出動指示などをこなした。
模擬発生農場では、獣医師資格を持つ飯田家畜保健衛生所の職員などが防疫服姿で実際に立ち入り検査を展開し、牛の状態を撮影した画像を対策会議などへ送信。会議は「口腔内の水泡やよだれなど口蹄疫の症状が見られる」として、3頭の「擬似患畜」を決定し、衛星電話を介して初動防疫対応の開始を現地へ指示した。
飯田署員の協力の下、農場周辺の交通を遮断。県職員らが感染の拡大を食い止めるための消毒ポイントを設置し、実際に車両や職員に炭酸ソーダやクエン酸による消毒液を噴霧した。
立ち入り検査など現地で対応した職員は「口蹄疫が発生する事態は常に想定されるため、このような演習は非常に大切。伝播力が強いため、初動の対応が重要になる」と話していた。