恒川遺跡群を国史跡に申請、将来の地域づくりへ一歩

社会

[ 2013年 8月 1日 木曜日 15時59分 ]

 飯田市教育委員会は31日、奈良・平安時代の役所「伊那郡衙(ぐんが)」が置かれていた座光寺の「恒川(ごんが)遺跡群」一部の国史跡指定を求める意見具申書を文部科学大臣宛てに提出した。実現すれば、県内における官衙遺跡として初の国史跡指定となる。指定後は同遺跡群や周辺に存在する多数の史跡を含む周辺一帯の保護保存に取り組み、将来の地域づくりへの活用を進めていく考えだ。

 同遺跡群では、市教委が1977年から実施した一般国道153号座光寺バイパス建設に先立つ発掘調査によって奈良・平安時代の遺物が出土し、1300年前の古代伊那郡の役所「伊那郡衙」が置かれたことが明らかになっている。

 これまでの調査から、租税を納める正倉とその瓦、木簡、陶製の硯(すずり)、火事による炭化米などが出土したほか、遺跡群やその周辺から「和同開珎」銀銭(県宝)、国内最古の鋳造貨幣「富本銭」(同)が見つかった。

 今回指定を目指すのは、遺跡群約34ヘクタールのうち「正倉院」「厨家(くりや)」「館(たち)」「恒川清水(ごんがわしみず)」など郡衙関連の遺構が存在する区域を中心とした約3・7ヘクタール。指定実現後も範囲確認調査を進め、郡衙に関連する遺構が確認できた場合、地権者の同意が得られた区域を追加指定していくことで指定範囲の拡大を検討する。

 指定が実現した場合、県内の官衙遺跡としては初の国史跡指定となる。国史跡としては県内で34番目、市では初めて。

 市教委では、遺跡群周辺に高岡1号古墳(県史跡)や南本城城跡(同)、旧座光寺麻績学校校舎(県宝)、麻績の里舞台桜(市天然記念物)、元善光寺などが多数所在することから、「古代から近代に至るまでの多様な文化財を含む貴重な歴史文化ゾーン」として一帯の保護保存に取り組む考え。指定後は保存管理計画を策定して史跡公園(仮称)を整備し、交流の場としての活用や遺跡群に関する情報発信を図る。

 牧野光朗市長は「地域の重要な生い立ちを物語る遺跡を後世に保存・継承し、これからの時代の地域づくりにおける資源として積極的に生かしていくことが必要」とした。

 地元自治会の湯澤英範会長(72)は「喜ばしいこと。地元でもリニアを見据えた地域づくりとして、都会から多くの人に来てもらえるように史跡散策コースづくりを検討している。申請はその準備のための第一歩。あとは審査をパスしてもらい、次のステップに向けて歩みを進めることができれば」と話していた。

  

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