成年後見制度のシンポジウム開催

社会

[ 2015年 2月 24日 火曜日 8時20分 ]

 認知症や障害などで判断能力が不十分な人を支える成年後見制度について、飯田下伊那地域の現状と展望を探るシンポジウムが21日、飯田市内で開かれた。医療や介護、法律など関係分野の専門家や従事者ら5人がパネリストを務め、実例に基づく課題や提言を伝えた。

 飯伊地域の弁護士や司法書士、社会福祉士などでつくる「みなみ信州後見支援ネット」(山田兵治会長)が主催。行政や司法、福祉施設の職員ら約70人が参加した。2013年に南信州定住自立圏形成協定に基づき設立し、制度の活用推進や相談窓口などを担う「いいだ後見支援センター」の実績も共有した。

 討論に先立つ基調報告は、同ネット会員で司法書士の男性が務めた。09年の成年後見の家裁申立件数は飯伊が16件で、人口規模が小さい近隣地区より10件以上少なかったが、13年は39件で前年対比40%増。核家族化や経済的格差の進行、親族以外の第三者後見人の選任事例の増加などの傾向を挙げ「関係者の連携協力が重要」と指摘した。

 シンポで、弁護士の男性は被後見人による民事訴訟の事例を解説。首長申立の成年後見人が就任後、以前に金銭管理を委託していた親族に対する使い込み分の返還訴訟で「原告側が立証責任を負う壁は大きい。受け手不足の現実的問題はあるが、訴訟労力を考えれば、早期に後見人を立てるべき」と述べた。

 介護福祉士の女性は一人暮らしの男性の事案を踏まえ「認知症が進んでいるが、自覚はない。危険な車の運転や金銭管理、薬の飲みすぎなど生活状況が心配だが、本人は『まだ大丈夫』と思っている。後見人制度の活用を含め、支援者がどう関わるべきだろうか」と問題提起した。

 社会福祉士・保健福祉士の女性は障害者の自立支援と権利擁護に向け「関係者の連携が重要」と強調し「さまざまな専門家の皆さんが関わることで、要支援者の生活の質を高めることができる。地域内で理解と協力が深まれば」と期待を込めた。

 飯田病院精神科部長の男性は成年後見制度について、禁治産・準禁治産制度から移行した経緯も踏まえ、ノーマライゼーションや自己決定権の尊重、身上保護といった視点で考察。司法書士の男性は後見人が不足する現状と高齢社会の進展に伴う需要増の見込みを伝え「養成には県などが主体となって横断的な組織の立ち上げや予算の確保が必要」と述べた。

 後半は参加者からの質疑も交え、課題や解決策などを共有。山田会長は「世界を見渡せば自由や平等、共生がおびやかされ、貧困や格差も増えている時代。関係者が互いに連携、協働して権利擁護のための活動を進めたい」と話していた。

  

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