飯田商工会議所が買い物弱者支援事業として行う移動販売、「しあわせ市場配達便」が5日、飯田市江戸町の元税務署跡地駐車場で初めて実施された。先月末に、食品スーパーマーケット・キラヤ江戸町店が閉店したことを受け、高齢者らの買い物支援対策を検討してきた同町が、飯田商議所に開催を要望し実現。約30分ほどの開催時間に多くの地区住民らが足を運び、需要の高さと同時に、高齢者らが普段の買い物に不自由を感じている現状をうかがわせた。
宮崎栄治江戸町自治会長(60)によると、同町には60歳以上の高齢者が100人以上おり、その多くが一人暮らしだという。車の運転もできず、重い荷物を持って長い距離を歩くことも難しいため、キラヤ閉店後、対策を望む声は強まっている。
この日は、同事業に参加する13事業所のうち7事業所が移動販売を実施。食料品や日用品、衣料品などを販売した。同町の88歳の女性は「自治会が素早い対応をしてくれた。とてもありがたい」、浜井町の78歳の女性は「歩いて遠くのスーパーまで行かずに済む。来週も楽しみ」と歓迎の声。一方で、江戸町の74歳の女性は「商品がどうしても限られてしまうし、週に1回では物足りない。屋外なので天候にも左右される」、同町の78歳の女性は「キラヤが閉店してから町内を歩く人がだいぶ減ってしまった。やはり、小さくてもスーパーが地区内にほしい」といった声も聞かれた。
宮崎自治会長は「予想していた以上に多くの人に来ていただけた。商品などに限りがあり、100%満足してもらうことは難しいかもしれないが、支援策の一つとして継続していければ。このほかにも、タクシーの乗り合いや宅配サービスなどについて検討を進め、少しでも高齢者らの買い物支援ができれば」と話していた。