県内初 燃料電池を自宅に導入、飯田市の中島さん

社会

[ 2009年 10月 24日 土曜日 13時36分 ]

 将来の水素社会構築に向けて、日本発の次世代エネルギーシステムとして、ことし7月1日から世界に先駆けて本格販売が開始された家庭用燃料電池「エネファーム」がこのほど、飯田市内の住宅に県内で初めて設置された。環境にやさしい燃料電池システム導入支援のため今年度からスタートした国の補助金制度を活用して導入したもので、飯田市の環境モデル都市にふさわしい新たな取り組みとして注目される。

 導入したのは、鼎上茶屋でプレス金型工場を経営する中島基雄さん(56)。昭和56(1981)年に建築した自宅が耐震化されていないため、建て替えを計画したが、環境問題に興味のある中島さんは「住宅を建てるにしても化学物質でなく自然素材を使って建てたい」と、上殿岡で伝統建築の設計を手がける矢澤秀勇さん(59)に相談した。矢澤さんは「自然素材のものを使い、自然に還る」という伝統建築を基本理念とした提案、設計をしている。

 建物だけではなく、生活に必要なエネルギーにも着目する矢澤さんは、太陽光発電システムや燃料電池、バイオマス、水力、風車などの省エネ性を考慮した次世代エネルギーに興味をもち、セミナーや講習会などに参加してきた。その中で、水素エネルギー社会に向けた取り組みも考えていた矢澤さんは、家庭用燃料電池の発売や水素エネルギーなどの話を聞き、以前から伝統木構造に共感してもらっていた中島さんにも家庭用燃料電池を提案し、今回の導入に至った。

 燃料電池は、都市ガスやプロパンガスなどから取り出した水素と空気中の酸素を反応させて電気とお湯も作るシステム。従来の発電システムは送電ロスが発生するため、利用できるエネルギー効率は37%と低く、発電時に出る熱を利用できずに捨てていた。燃料電池は使う場所で発電し、その熱を給湯などに利用できるため、エネルギー効率が80―85%になる。

 中島さんは12月に建て替えに着工、来年12月に完成の予定だが、補助金申請の期限があるため、とりあえず既存の住宅に先月、燃料電池を取り付けた。これまでプロパンガスと電気を使っていたが、燃料電池により0・7ワットは発電できるため、10年ぐらいで元が取れる。また、熱は蓄熱装置で給湯タンクの中の水を温水に変え、台所や風呂などに使っており、無駄がないという。

 自宅でも導入を予定する矢澤さんは「燃料電池の普及により低炭素社会の家づくりを考えるきっかけになれば。伝統建築に合っている」と話している。

  

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