飯田市が太陽光発電普及のため全国初の設置費用0円システム構築

社会

[ 2009年 12月 29日 火曜日 8時36分 ]

 環境モデル都市飯田市は28日、おひさま進歩エネルギー、飯田信用金庫と協働で住宅への太陽光発電の普及とエネルギーの地産地消をさらに推進するため、設置費用0円システムを全国で初めて構築したと発表した。同システムにより太陽光発電を設置した市民が、売電量を増やすため家庭で省エネ行動を実践することにより、従来の自己負担で設置された太陽光発電設備と併せて、民生・家庭部門における温室効果ガスの削減を推進する目的だ。市では「住宅用太陽光発電の普及率は2・3%。全国平均の1・8~1・9%を上回る。今回のシステム構築により飯田のすべての屋根に太陽光発電を設置したい」としている。

 国は、住宅を対象とした太陽光発電設備の設置を普及させるため、11月1日から太陽光発電余剰電力固定価格買取制度をスタートさせた。この制度は、22年3月までに設置された太陽光発電パネルで作られた電力を自家消費のうえ、余った電力を従来の倍の48円(時間あたりキロワット)で10年間にわたって電力会社に売ることができる。

 これまで住宅には、高額な初期投資が太陽光発電普及のネックとなっていたが、おひさま進歩エネルギーはこの機会をとらえて、固定買取と太陽光市民共同発電事業を活用した「おひさま0円システム」を全国で初めて構築。市民が自らの屋根で発電した電気を使ってエネルギーの地産地消を実践するのを支援するため、同システムを運用し、低炭素社会づくりへの取り組みに企業として参加する。

 また、飯田信用金庫は低金利のエコファイナンスでおひさま進歩エネルギーを支援する(1件当たり170万円)。飯田市は、自己設置者に対して市から交付される住宅用太陽光発電システム設置奨励金と国から交付される補助金の相当額(30万円)を、市が同社に交付することを通じて、市民が設置費用0円で太陽光発電を設置できるよう財政支援を行う。

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 具体的には、おひさま進歩は、住宅所有者の屋根に無償で太陽光発電設備(200万円)を設置し、その家に9年間電力を供給。住宅所有者は、この電力を購入し、毎月1万9800円(トータル210万円)を同社に支払う。9年間の使用貸借の契約期間が終了すると、屋根に置かれた設備は無償で住宅所有者に譲渡され、その後は自ら使う電力は自らの設備で発電する。

 住宅所有者は、中電と系統連系の契約をするため、自家消費をして電力が余った場合にはその電力を同社に売って利益を得ることができる。おひさま進歩へ支払う1万9800円から電力の売却益を差し引いた金額が実質的な負担額となる。市は今年度の募集枠30件分の財政支援のため、12月補正予算に900万円を計上。年明け4日から1月末までの募集期間に応募のあった中から、次の設置基準を満たした住宅を選定する。

 ▽飯田市に住所を有する者が所有し、この住宅で実際に生活を行っている▽南向きなど日照条件のよい屋根に3・5キロワットを標準とする太陽光パネルが設置できる▽屋根材が太陽光パネルの荷重に耐えられ、設置しても雨漏りなどの恐れがない▽中電との受電契約があり、系統連系ができる▽事業主体が定める標準費用で設置できる。

 記者会見で牧野光朗市長は「自己資金0で住宅に太陽光発電を普及させるため、多様な主体が協働して立ち上がった。環境モデル都市行動計画に盛り込み、制度のスタートを切る。特に信金がファイナンスの面で参画してくれたことで、政策金融的な考え方が様々な施策でも進むことを期待している」と強調。

 飯田信金の池田征人理事長は「地域ぐるみ環境ISO研究会の一員として、環境モデル都市飯田が目指す低炭素社会構築に金融機関としてどのような取り組みができるかこの事業を通じて検討していきたい。どこの家庭でもエネルギーの地産地消に取り組める新たな金融商品を開発していきたい」、おひさま進歩の原亮弘代表取締役は「2004年に市民ファンド出資により創設以来、公的施設や民間事業所162カ所に1300キロワット近い市民共同発電ができあがってきた。個人住宅にも広げるしくみをつくりたいという願いが今回成就した。設置費用0で設置することで、余った電力を売るため省エネ行動が進むことも重要」とそれぞれ述べた。

 同社によると、太陽光発電パネルの耐用年数は20~30年とされるが、配線やパワーコンディショナーなどは10年ぐらいで故障するリスクもある。契約期間中のメンテナンスは同社が負担する。市によると、昨年度までに市の補助(1キロワット当たり7万円、上限額20万円)を受けて太陽光発電を設置した住宅は850件。今年度は当初予算に100件分2000万円を計上しており、これまでに70件の申し込みがある。これとは別に今回30件を募集する。

  

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