カヌーの東京五輪日本代表最終選考会を兼ねた第42回NHK杯国際スラローム大会は20日、五輪会場となるカヌー・スラロームセンター(東京都江戸川区)で行われ、カヤックシングル女子で飯田市出身の矢沢亜季選手(27)=昭和飛行機工業、飯田西中―埼玉・東野高―駿河台大出=が2大会連続の五輪代表を決めた。
この日は4種目の準決勝と決勝が行われ、カヤックシングルの矢沢選手は21人で競った準決勝を突破。決勝もミスを極力抑える巧みなパドルさばきで日本人トップの9位に入り、ライバル視する竹下百合子選手(キッコーマン)を退けて五輪切符をつかみ取った。
東京五輪での目標は「メダル獲得」と設定する。最終選考会での結果に満足した表情は見せず、東京五輪に向けて気持ちを引き締める姿勢。「目標達成のためにもこれからの一日一日を大事にし、来年のW杯でいい流れをつくって東京五輪を迎えたい」と、余韻に浸ることなく先を見据えた。
矢沢選手は、カヌー選手だった父の手ほどきで小学生の頃からカヌーを始め、地元の天竜川で腕を磨いた。県内にスラロームを強化する高校はなく、カヌー選手としての実績がある兄同様、埼玉県入間市の東野高に進学した。大学卒業後も競技を継続。日本オリンピック委員会(JOC)が主催する「トップアスリート就職支援ナビゲーション」により、昭和飛行機工業に入社。初出場した2016年リオデジャネイロ五輪は予選敗退だった。18年アジア大会は金メダルを獲得している。
矢沢選手を含め、東京五輪に出場する4選手が決まった。男子カナディアンシングルは前回リオデジャネイロ五輪銅メダルの羽根田卓也選手(ミキハウス)が4大会連続の切符。男子カヤックシングルは足立和也選手(山口県体協)が初めて代表入りし、五輪初採用となる女子カナディアンシングルは佐藤彩乃選手(秋田病理組織細胞診研究センター)が代表に決まった。
◎写真説明:カヌー東京五輪代表の4選手