飯田市上郷別府の陶芸家・土屋智恵さん(43)が、25日に市内で開催される第20回ツアー・オブ・ジャパン南信州ステージ優勝者に贈呈する、陶製の優勝杯を制作した。伊那谷の山並みとリンゴの花を描き、飯田の春の情景を表現。19日に市役所で会見を開き、優勝杯を披露した。
南信州ステージ実行委員会では昨年から、地域の特色を生かした大会運営の一環として、地元の若手芸術家によるトロフィーの作成・贈呈を実施。前回は、龍江の陶芸家・水野雅史さんによる尾林焼の優勝杯が制作された。
ことし初め、実行委員会が土屋さんに制作を依頼。土屋さんは「伊那谷のきれいな風景を表現したい」と、大瀬木にある母の実家のリンゴ畑から眺めた山並みを杯に表すことにした。
地元の大平長石を土の素材に取り入れて成形。手にした時にリンゴの花束を持っているようなイメージになるよう、持ち手の部分をリボンの形にして、杯の表と内側にリンゴの花々を配した。杯のふちには、南アルプスと手前の伊那山地の稜線を描き込んでいる。
女性らしさを出そうと、全体を優しい色彩で表現。白いマットな地に、薄いピンクの花や赤いつぼみ、緑の葉をいっぱいに付けたリンゴの木を描いている。
土屋さんは「釉薬が流れてしまったり、思うような色が出なかったりして試行錯誤し、5回焼いて思うようなイメージに仕上げることができた。優勝杯を手にした方が後で見た時に、伊那谷のきれいな風景の中を走ったことを思い出してもらえたら」と話していた。
ほか南信州ステージでは副賞として、飯田水引協同組合の水引製王冠、喜久水酒造の純米吟醸猿庫の泉、伊那谷クラウド合同会社のシードルPoshが各賞受賞者に贈られる。