「たい切り面」火の粉激しく 天龍村坂部の冬祭り 国重文

文化・芸能

[ 2019年 1月 5日 土曜日 15時36分 ]

 

 天龍村坂部に伝わる国重要無形民俗文化財の湯立て神楽「坂部の冬祭り」が4日夕から5日昼にかけ、大森山諏訪神社で行われた。厳寒の中、集落の住民らが夜通しで舞を繰り広げ、5日午前6時過ぎ、主役の「たい切り面」を着けた赤鬼が登場。鉞(まさかり)を松明(たいまつ)にぶつけて火の粉が散る姿に、集まった観衆らが熱い視線を注いだ。

 600年余続く集落行事は、旧神原村の3社で旧暦の霜月(11月)に行われていた湯立て神楽で、3日の「向方のお潔め祭り」、5日の「大河内池大社例祭」を含めた天龍村霜月祭りの1つに数えられる。

 今年も天竜川で身を清めた舞い手の「神子」たちが、4日夕に神々を下の森(火王社)から同社へ運ぶ「お練り」で幕開けすると、社殿内の舞堂(まいどう)で翌朝まで剣や鈴を使った装飾舞や湯立てを繰り広げた。

 夜空が白み始めた5日午前6時過ぎ、「たい切り面」を着けた赤鬼が登場すると祭りは最高潮に。囃子に合わせてドン、ドンと両足で地を力強く踏み鳴らし、2人の宮人が捧げ持った燃えさかる松明に鉞を激しく打ち付けて火の粉を飛び散らした。

 同地区の旧家・熊谷家当主の直吉の夢占いをきっかけに、室町時代の1428(正長元)年に始まったとされる祭り。氏子たちが沸かす湯釜の周りで神事や舞を行い、無病息災や子孫繁栄を願う。

 坂部地区は現在11戸14人が暮らすが、祭りに合わせて帰省する若手出身者や、祭りを研究する大学の学生らも加わり祭りを支えた。村も今年初めてJR平岡駅から神社までを結ぶ送迎バスを運行して、東京や横浜からのリピーター客を送迎するなど支援を手厚くした。

 氏子総代の平松雅隆さん(69)は「都会の生活にはない何かを求めて訪れてくれる多くの人たちから、我々も元気をもらえる。またここから1年をスタートしたい」と話した。

◎写真説明:鉞を松明に打ち付けて火の粉を散らす「たい切り面」

  

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