大鹿村に江戸期から伝わる国選択無形民俗文化財「大鹿歌舞伎」の秋季公演が17日、同村鹿塩の市場神社境内であった。新型コロナウイルス感染症の影響で無観客開催とし、インターネットと村自主放送、飯田ケーブルテレビでライブ中継した。
今秋は、2011年公開の映画「大鹿村騒動記」で扱われた大鹿歌舞伎のオリジナル演目「六千両後日文章 重忠館の段」を上演。景清、重忠ら千両役者6人が繰り広げる1時間半の長編芝居を地元と全国に生配信した。
大鹿歌舞伎の醍醐味は舞台と客席の一体感にあるが、今年は関係者と報道陣のみ。総勢16人の役者はいつもと違う静けさの中、テレビカメラの向こう側にいる多くの住民やファンのためにこん身の演技を披露した。
役者も務めた熊谷英俊村長は「今年は伝統芸能の継承を第一に考えて公演を開いた。春は事前収録だったが、今回はリアルタイムなので緊張感があった。お客さまが来てくれる状況が戻ったら、今まで通りの定期公演を開きたい」と話した。
映像は動画サイト「ユーチューブ」の村公式チャンネルで1週間ほど公開を続ける。
◎写真説明:無観客の会場で熱演する役者たち(大鹿村市場神社で)