天龍村に伝わる霜月神楽(国重要無形民俗文化財)の一つ、「向方のお潔め祭り」が3日、向方地区の天照大神社で開かれた。神前に供えた湯釜を囲み、老若男女が舞を奉納。舞で清めた湯を神々に献湯し、氏子らの無病息災を願った。
向方のお潔め祭りは面形の無い湯立神楽で、氏子らが扇、鈴、剣などを手に「花のようとめの舞」「四ツ舞」「三ツ舞」「古伝の舞」「火伏せ」など多彩な湯ばやしの舞を舞う。
過疎化が進む同地区は現在約40戸で構成。高齢化もあって祭りの継承に向けた担い手の確保、育成が課題となっているが、近年は関心を持つ県内外の若者らが、祭りに限らず地区との交流を続けるなどして住民とのきずなを深めている。今年も地区出身の村外在住者らとともに、舞い手や裏方として祭りを支えた。
地区祭り芸能部の村松久一さん(72)は「地区住民と地区外の若者とが一体となって祭りを行うことができた。祭りに限らず、真剣に地区と向き合ってくれることがうれしい。祭りの継承、世代交代に向けた足掛かりになったと思う」と振り返った。
天龍村の霜月神楽は、向方のお潔め祭りの他、1月4日から5日にかけて行う「坂部の冬祭り」と、5日から6日にかけて行う「大河内池大神社例祭」がある。今年は、新型コロナウイルス感染予防の観点から、坂部と大河内は舞を取りやめ、神事のみを執り行った。
◎写真説明:天照大神社で開いたお潔め祭り