阿南町和合に300年余り受け継がれる国重要無形民俗文化財「和合の念仏踊り」が14日夜、林松寺で始まった。新型コロナウイルス感染防止のため、3年連続で観覧者は地元住民に限定。雨のため初日の13日は中止となったが、同踊り保存会の平松三武会長は「新型コロナウイルスに始まり、台風の接近もあったが、無事に開催できた」と安堵した。
豊作を祈願するとともに、新仏を供養する伝統の踊り。16日まで毎晩同寺などで踊り、太鼓やカネの音、念仏や和讃の声を響かせる。例年14日は新盆供養のために同寺で踊る。
午後8時過ぎに「庭入り」が始まり、旗、ヒッチキ(竹の棒と擦りザサラ)、太鼓、かね、ヤッコ、花など20人余りの行列が寺の境内で厳かに行進。続いて踊り手のヒッチキが2人一組となり、テンポの速い拍子に合わせて「ヤートーセー」の掛け声とともに飛び跳ねながら激しく体をぶつけ合った。
その後は「念仏」「和讃」の儀で、先祖や新盆を迎えた人々を供養した。
ヒッチキ役を務めた阿南第一中の小椋哲生さん(14)は「今年で2回目。昨年は雨で本堂の中で踊ったので雰囲気が違い楽しかった」と笑顔で語った。
和合の念仏踊りは、新野の盆踊りなどとともに「風流踊」としてユネスコ文化遺産への登録を目指しており、11月にも登録の可否が決まる。平松会長は「登録されれば踊る人たちにとっても自信になる」と期待を寄せた。
15日はこの日と同様に同寺で踊り、最終日の16日は熊野社、和合の開祖とされる宮下家、同寺の順に3カ所で庭入りを行う。
◎写真説明:林松寺境内で行われた念仏踊り