阿南町新野で8月14日から行われる国重要無形民俗文化財「新野の盆踊り」に向け26日、新野小学校で盆踊り講習会が開かれた。新型コロナウイルスの影響を受けて時間制限を設けながらも、今年は3年ぶりの開催に向けて準備が進む。参加した新野小の児童と阿南第二中の生徒たちも、本番に向けて踊りや歌の練習に励んだ。
両校では毎年1学期の終業式に合わせ、踊りを伝承する「新野高原盆踊りの会」(山下昭文会長)を招いて講習会を開いている。
この日は、児童生徒と職員ら計63人が参加。輪をつくり、「すくいさ」「高い山」「音頭」など6種類の踊りを踊り、所作の一つ一つを確認した。
幼少期から参加している生徒らは踊りが始まるとすぐに勘が戻り、会員らと動きをそろえた。経験の浅い小学生らは、まずは踊りを楽しみ、少しずつ動きを覚えていった。小学6年の児童の一人(11)は「まだ全ての踊りを覚えてはいない。会員の皆さんや中学生に教わり、きれいに踊れるようにしたい」と意気込んだ。
新野の盆踊りは、笛や太鼓などの鳴り物を一切使わず、櫓の上で踊る「音頭取り」の「音頭出し」とその周りに輪をつくる踊り子の「返し」の声だけで行うのが特徴で、中学生も音頭取りに挑戦している。中学3年の男子生徒(15)は「皆が楽しみにしている祭りなので、開催はうれしい。後輩たちには楽しく踊りながら伝統を引き継いでいってほしい」と話した。
例年は14日夜から17日の明け方まで毎晩、夜通し踊り明かすが、今年は14、15日の踊りを午後9時~午前0時までとする。16日は翌17日の早朝まで続けて「踊り神送り」を行う。小中学生には簡易検査キットを配布し、事前に陰性を確認してもらう。
開催の最終的な判断は10日に行う。独自の感染警戒レベルで、飯田下伊那地域が「5」以上になった場合は中止も検討する。
山下会長は「今年こそ何とか開催したい。子どものころから盆踊りに親しむことで新野で500年続く伝統を守る意識を持ってくれれば」と話していた。
◎写真説明:踊りの練習に励む児童、生徒ら