阿智村昼神温泉郷の冬の風物詩「昼神の御湯(おんゆ)」の開幕を告げる降神祭と分湯式が3日、阿知川に架かる恩出(おんだし)橋であった。稲わらで組んだ守り神の人形「湯屋守(ゆやもり)様」を並べて湯立て神事を行い、温泉利用者の無病息災とともに、来年で出湯50周年になる温泉郷の発展を願った。
昼神の御湯は今年で16回目で、12月から3月上旬までの約3カ月間。「霜月祭り」に訪れた八百万の神様が昼神に滞在し、温泉に入るとし、湯屋守様は、神様が来ている間の魔よけの役を担うとする。
降神祭・分湯式には旅館関係者ら約25人が参加。橋には大小13基の湯屋守様が並び、中央には高さ約3メートルの「大湯屋守様」が置かれた。神事では煮えたぎった釜のお湯をまき、温泉郷の繁栄と安泰を祈願した。
御湯の期間中、大湯屋守様はそのまま橋中央に、他の湯屋守様は各旅館の玄関先に飾る。3月の第一土曜日(4日)に神様が帰る「お焚き上げ」を開き、湯屋守様を集めて一斉に焼く。期間中、神様と一緒にお風呂に入った記念として、希望者に「入湯の証し」を贈る。
昼神の御湯実行委員長の今井竜也さんは「来年は新型コロナによる厳しい状況から観光業が復活し、地域全体が穏やかな年になってほしい」と語り、熊谷秀樹村長は「来年は昼神50周年。地域にとって明るい年になり、温泉郷が末永く続くことを願いたい」と話した。
◎写真説明:恩出橋で開かれた降神祭と分湯式