阿智村智里の信濃比叡廣拯院は11日、厄除けや招福を祈願する火渡り護摩「大火生三昧(だいかしょうざんまい)」を、同院伝教大師像前で行った。僧侶や厄年の男女がはだしでおきの上を歩き、無病息災を願った。
火渡り護摩は天台宗の荒行で、廣拯院では建国記念日に合わせて30年以上続けている。コロナ禍の影響で一昨年は中止、昨年は僧侶と関係者のみで行ったが、今年は3年ぶりに通常開催し、一般も火渡りに参加した。前日の雪の影響で約1時間半遅れて始めたが、会場には数百人が集まった。
村上光田住職や僧侶たちが四方に矢を放つなどの儀式を行い、うず高く積んだスギの葉に点火。太鼓に合わせてお経を唱え、燃え盛る炎の中へ寄せられた護摩木やお札を投げ入れていった。
開始から約1時間後、火が収まるとおきを平らにし、火渡りを始めた。はじめに僧侶たちが気合いを入れて力強く前進。続いて厄年の男女らもはだしになり「バン、バン、バン」と言いながら、おきの上を歩いた。
阿智村清内路の女性は子ども(1)と一緒に火渡りをし「思ったより熱かった。家族が健康で過ごせるよう願った」と話した。名古屋市から家族9人で訪れた女性は約10年参加しているといい、「世界で悲しい戦争が続いているので、平和への願いを込めた」と語った。
岡田光正副住職(35)は「開催を望む声が多くあり、皆さんが喜んで下さりありがたかった」と感謝し、「地域も寺も行事が戻りつつある。どんな形でも続けていくことを大事にしたい」と話した。
◎写真説明:おきの上をはだしで歩く参加者