飯田市上郷飯沼の飯沼郷諏訪神社で9日、数え年で7年に1度の式年御柱大祭があった。飯田下伊那地域の新型コロナウイルス感染状況を踏まえ、御柱街道の大祭旗巡行、獅子舞の氏子廻りなどは行わず、境内で一連の神事と建て御柱のみ実施。幹回り2メートル余、長さ約18メートルの2つの御柱を神社本殿前に建立した。
午前10時ごろに境内の仮安置所前で神事を執り行い、「二之柱」から建立を開始。勇壮な木遣り歌とラッパが響く中、クレーン車で御柱がひき上げられる様子を集まった大勢の氏子と地域住民が見守った。
御柱は、昨年11月に同地区黒田の野底山で伐採したいずれも推定樹齢150年のモミの木。重機で掘った穴に根元を納め、土を被せて垂直に建立すると、木遣り班が一層大きく木遣り歌を歌い上げた。
急な300段の神社石段で巨木を人力だけで曳き上げるのが同神社御柱祭の最大の特徴だが、祭典実行委員会は3月末までに飯伊の感染警戒レベルが4以上であることから、事前に取り決めたガイドラインに従い、今回は規模を縮小した。
篠田順総代長は「曳行ができなかったのは残念だが、氏子や地域の皆さんのご理解で無事建立することができた」と感謝。「形は変わってしまったが、後世につなげていくために行うことが大切。次回は盛大にできれば」と話していた。
◎写真説明:飯沼郷諏訪神社の御柱祭