飯田市下久堅知久平の知久平諏訪神社式年御柱大祭祭典委員会は13日、稲葉地区の稲葉クリーンセンター付近で御神木伐採と山出しを実施した。新型コロナ対策のため、今年は里曳きを取りやめ、トレーラーで御神木を運搬。伐採もクレーンを用いて行った。最後の境内への引き込みは人力で行い、見せ場の一つ「田落とし」も。2本とも無事境内へ運び込まれ、喜びの木遣り唄が響き渡った。
御神木は中山邦彦さんが寄進した同センター公園近くのスギの巨木2本。神事には氏子ら約70人が参加した。宮司が諏訪大社上社から拝戴した薙鎌を打ちつけ、平岩一彦祭典委員長や中山さんらが斧入れをした。
御神木が道路沿いに立ち、近くに電柱や電線があったため、今回は倒さずにクレーンでつり上げる方式を採用した。クレーンを延ばしてワイヤーを木にくくりつけ、根元を伐採。御神木がつり上がると会場から拍手が起きた。
長さ14メートル、幹周り約180センチの御神木を大型トレーラーに載せ、2キロ離れた神社前の畑まで搬送。敷き詰めた竹の上に降ろすと、境内まで100メートルほどを人の力で引き込んだ。住民らも加わり総勢130人ほどで一緒に綱を引いた。
二之御柱の引き込みでは時間に余裕があったため、田んぼに木を落とし、再度引き上げる知久平の見せ場の一つ「田おとし」もした。勢い良く落ちた木をてこ方がてこ棒を使い、1メートルほど上の参道まで持ち上げた。
午前7時に始まり、午後3時に無事終了。締めでは木遣り衆による勇壮な木遣り唄が境内にこだまし、参加者全員で万歳をした。
20日に旧御柱を倒す「御柱休め」と新御柱の皮むきを行う。27日に建御柱を挙行し、同日夜に奉納煙火を予定している。
平岩祭典委員長は「始まるまでは心配事があったが、天気に恵まれ、皆さんの協力のおかげで無事終えられた」と感謝。「里曳きをできなかったことは残念だが、状況に即した判断ができたと思う」とし、「建御柱が盛大に行えるよう準備を進めていく」と語った。
◎写真説明:クレーンでつり上げて御神木を伐採