飯田市南信濃和田の和田諏訪神社の式年御柱大祭が3日、同神社を中心とする和田地区一帯で繰り広げられた。雨が降るあいにくの天気となったが、氏子をはじめ地区住民や出身者ら多くの老若男女が参加。力を結集して七間三尺(約13・6メートル)、重さ2トンを超えるモミの木の御柱を曳き歩き、神社境内に建立した。
1884(明治17)年に始まったと伝わる同神社の御柱祭。新型コロナウイルスの影響で例年通りの開催を危ぶむ声もあったが、昨年9月に斧入れ式、12月に前御柱納め式、今年に入って全戸縄供出、縄ない、山出しと準備が進み、無事大祭を迎えた。
この日は、御柱を安置していた遠山中学校前から里曳きをスタート。雨で路面や引き綱が滑りやすくなる中でも、参加者は掛け声に合わて力を振り絞り、音頭とりが乗る巨木を引いた。
万国旗に彩られた和田の商店街は、祭りの参加者や見物客らが道路を埋め尽くすにぎわい。各所で木遣り歌や「ヨイサー、ヨイサー」の掛け声、ラッパの音色などが響き、大きな盛り上がりを見せた。綱を引いて歩いた遠山中学校2年の生徒(13)は「前回の御柱祭の記憶はあまりないので、祭りの雰囲気が新鮮で楽しい。たくさんの人がいて地域がにぎやかなのがうれしい」と話した。
献木者の玉置洋一さん(70)は里曳きを眺めながら「長く続く祭りを守ろうという地域の熱い思いを感じた。あれだけの巨木を引いて歩くのだから、人の力はすごい」と笑顔。建立を終え総代会長の近藤知典さん(62)は「多くの人の協力により、事故無く安全に祭りを終えることができた」と感謝し、「地域が一つにまとまったことを感じられる、良い祭りになった」と喜んだ。
◎写真説明:和田の商店街に木遣りを響かせる