数えで7年に一度行う大宮諏訪神社(飯田市宮の前)の式年大祭に合わせ、郷土芸能を奉納する飯田下伊那最大の祭り「飯田お練りまつり」が25日、飯田市街地で始まった。江戸時代の参勤交代を再現した大名行列と“日本一の獅子舞”東野大獅子が青空の下で演舞を披露し、多くの人が観覧した。
このうち大名行列を演じる本町三丁目大名行列保存会(福澤勝会長)は、午前8時台に追手町の赤門前で最初の演舞、市役所前では最初の所望演技を披露してから市街地を練り歩き、夕方までに25カ所で観覧者を魅了した。
各町には多くの人が集まり、大名屋敷から受け継いだ本物の道具やぞうり、傘などを使った所望演技に大きな拍手を送った。
副会長の宮下勝吉さん(60)に代わり、今回から役者の先頭に立つ大名行列の顔「化粧傘」を演じる町内在住の会社員、遠山東太郎(とうたろう)さん(49)は、張りのある「エーハリワサートーナー」(この良い技を見よ)の掛け声とともに、切れのいい演技を披露。観客からは「かっこよかった」「上手だった」といった感想が聞かれた。
遠山さんは「ここまでくると不思議と緊張感がない。楽しみながら精いっぱいやりたい」と笑顔で話した。
役者たちは演技中だけマスクを外し、それ以外の時間はマスクを着けるなど、コロナ対策を取りながら演技を続け、ハンドスピーカーを持った関係者が観客に距離を保つよう呼び掛けた。
大名行列は26日に25カ所、最終の27日は22カ所で演じる予定。降雨が予想される26日は、法被の下に雨具を来て出場し、貴重な道具はビニールで保護する。
松尾地区から子どもと訪れた女性(43)は「新型コロナウイルスの影響で出られなくなった団体があるのは残念だけれど、大名行列の声や東野大獅子のお囃子を聴いたら心が躍り、楽しい気分になった」と話し、2組の演技に見入っていた。
26日と27日は計26団体が出演する予定。
◎写真説明:参勤交代を再現する本町三丁目大名行列保存会