秘仏となっている善光寺(長野市)の本尊がかつて安置されていたとされる飯田市座光寺の元善光寺で3日、数え年で7年に1度の御開帳が始まった。初日はあいにくの雨となったものの、県内外から参拝に訪れた善男善女は晴れやかな表情で新調された回向柱に触れ、姿を現した前立(まえだち)本尊の一光三尊阿弥陀如来像に手を合わせた。
ゆかりのある善光寺に合わせ、今回は御開帳を昨年春から1年延期。密集回避のため、期間も善光寺と同じ6月29日までの88日間とした。
本多秀道住職(47)らは午前9時から本堂で経をあげ、前立本尊が安置された厨子の扉を開いた。続いて前立本尊と「善の綱」で結ばれた高さ4メートル余の回向柱に向かって般若心経を唱え、仏を供養する札をまくと御開帳が開幕した。
参拝客は3月に改修が完了したばかりの本堂で阿弥陀如来像に手を合わせると、戒壇巡りを体験したりお守りを購入したり。前立本尊に触れるのと同じ功徳があるとされる回向柱には手指を消毒した上で触れ、ご利益を願った。
家族で訪れた高森南小学校6年の男子児童(11)はコロナ終息と自身の健康、家族の安全などを祈願。「前回の時は保育園児で御開帳のことがよく分かっていなかったので来れてよかった。6年後もまた参拝できたら」と話していた。
本多住職は「1年延期したことで感染対策も万全になった。今回は88日間あるのでぜひ足を運んでいただけたら」と話していた。
麻績の里(座光寺)は、本多善光が難波の堀から一光三尊の阿弥陀如来を迎えた地。長野に本尊を移した際、麻績の里には木彫りの御尊像が残され、「毎月半ば十五日間は必ずこの麻績の古里に帰り来て…」という誓願を残したといういわれから「善光寺だけでは片参り」とされる。5月1日には前立本尊をたたえる「中日大法要」がある。
◎写真説明:回向柱に触れる参拝客ら