飯田市街地で数えで7年に一度開く「飯田お練りまつり」が27日、閉幕した。好天に恵まれた最終日は多くの観覧者が市街地に集まり、13団体による演舞に拍手を送った。地域経済の活性化に向け、コロナ対策を施しながら祭りをPRした結果、来場者は3日間で約20万人(主催者発表)となった。
26日は昼前から降雨となり、出演予定だった2団体が欠場したほか、演舞を午前で打ち切った団体もあったが、祭りは午後5時ごろまで続き、各団体は予定の訪問先で所望演技を重ねた。
朝から晴天となり、気温も上昇して桜も色付いた27日の市街地は朝からにぎわい、お練りまつりらしい光景が広がった。
お練りまつりがほぼ唯一の出番となる東野大獅子の菅沼敬一保存会長(59)は「練習時間は短かったが、短期間で集中的に練習した成果が出せた。小太鼓の半分を占めた新人もとてもうまくなり、師匠や先輩の技が継承できた」と安ど感を漂わせた。
「今回やらないと終わってしまう」という危機意識を持って臨んだ本町三丁目大名行列保存会の福澤勝会長(73)は「役者と支援者が一つにまとまり、次のお練りまつりにつなげられると実感した。役者44人中43人が町外出身だが、持続可能な保存会のあり方も見え、感謝しかない」と喜びをかみ締めた。
26日に中平獅子舞保存会の演舞を終え、27日は個人的に祭りを楽しんだ鼎中平の戸崎敬さん(69)は「1つの目標に向かって頑張る各団体の姿が強く印象に残った。コロナ下でも、何かやることで次につないでいける気がする」と話した。
昼時の飲食店には満席になる店もあり、中央通りの焼き肉店前には「現在完売中」の張り紙が掲示された。
別の通りにある和菓子店の代表は「2日目の雨は痛かったが、最終日はにぎわった。売上は前回の8割くらいを予想したが、ほぼそのくらいにはなった」と振り返った。
奉賛会長を務めた飯田商工会議所の原勉会頭(72)は「商工会議所は飯田大火後の昭和25年(1950)年以来、7年に1回お練りまつりを開くことで地域を元気にしてきた歴史を踏まえ、開催を決断した。コロナ禍という厳しい状況の中でいろいろな意見があったが、出演者や観覧者の表情から開催の喜びが感じ取れ、街もにぎわって本当によかった。リニア開業と三遠南信道開通、大学誘致に向けた地域の一体感につなげたい」と話した。
◎写真説明:多数に見守られた寝かしの舞