飯田市追手町の飯田市美術博物館は、10月9日~11月7日に開く特別展「菱田春草~故郷につどう珠玉の名画~」への多数の来場を願い、子ども向けの鑑賞ガイドを作成した。飯田下伊那地域の小中学生へ約1万3000部を配布。同館美術専門研究員の手塚俊尚さんは「ガイドを活用し、春草の作品や人物について学ぶきっかけにしてくれれば」と呼び掛けている。
「作品の前をただ素通りするだけでは悲しい」と手塚さん。地元出身画家の作品の魅力を、子どもたちに分かりやすく伝えようと作成した。新型コロナウイルス感染症の影響で来館を断念したり迷ったりしている学校が多くある状況で「事前学習に活用したり、スムーズな鑑賞ができるように」と教員向けの指導手引きも配った。
ガイドはA3を4つ折りにしたA5サイズで、代表作8点を掲載している。オリジナルキャラクター「きくじどう」が、作品の解説や制作の背景を紹介。また「じっくりみよう」「かんがえよう」「ことばにしよう」の3項目で、作品鑑賞のポイントや楽しみ方を提案している。
鑑賞作文コンクールも特別展に合わせて実施する。小学生の部(小学3~6年)と中学生の部の2部門で、▽春草展に展示された名画を1つ選び感じたこと▽画家・菱田春草の生涯について感じたこと―の2テーマで募る。400字詰原稿用紙2枚以内。提出は同館窓口か郵送で、11月30日まで受け付ける。
手塚さんは「学校や家庭で読み込み、来館した際にはじっくり眺めてほしい」とし、作文コンクールについても「発展的な学びのきっかけになるはず」として多くの参加を呼び掛けている。
特別展は春草の没後110年の節目にあたって開催。重要文化財4点のうち「黒き猫」「賢首菩薩」「王昭君」のほか、「水鏡」「菊慈童」「雀に鴉」など48点を飾る。
問い合わせは同館(電話0265・22・8118)へ。
◎写真説明:美博が作成した鑑賞ガイド