イラスト書道家の和全さんが24日、阿智村智里の東山道・園原ビジターセンターはゝき木館で、書道パフォーマンスを披露した。同館や信濃比叡廣拯院で開いている個展「墨と彩の世界」に合わせたイベントで、同村のジャズミュージシャン森田修史さんの演奏に合わせ、阿智村や廣拯院にちなんだ作品を豪快に書き上げた。
書道パフォーマンスは作品が展示されているカフェほうきの木ギャラリー内で開催。約1・8メートル×約3メートルの大きな紙の右側に最澄の「一隅を照らす」を書き上げると、左側に園原のははきぎ、中央に白へびを描いた。途中、作品の中に即興で観客の似顔絵を描き、会場を沸かせた。
森田さんを特別ゲストに招き、書とサクソフォンのセッションを披露。森田さんは筆のスピードに曲のテンポを合わせ、似顔絵の際は明るい曲を演奏していた。森田さんは「サックスも書も迷いがあってはうまくいかない。サックスも書も同じだなと思った」と話した。
和全さんが阿智村で個展を開くのは初めて。活動を始めた2016年からの厳選作品を展示しており、世界の名画に漢字を入れ込んだ作品や、文学から湧いたイメージを表現した作品などが並んでいる。30日まで。
廣拯院の座禅堂ではプロジェクションマッピング作品も展示。「星」という古代文字の上に、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のストーリーをマッピングした。
はゝき木館の書道パフォーマンスの前には、同院の岡田光正副住職による座禅体験もあった。
和全さんは「星」の字はもともと星の集合体を表す字だったとし、「一人一人が輝いているからこそ社会も輝くのだと思う。いろんな縁のおかげで個展ができた。縁を大切にしてこれからも制作に励みたい」と語った。
◎写真説明:作品を書き上げる和全さん