飯田市上村程野地区で30日、程野正八幡宮諏訪大明神の御柱式年大祭が開かれ、住民や出身者、各地から駆けつけた協力者ら1000人余が総出で里曳きと建立を行った。
昨年、程野山国有林からトウヒを切り出し、斧入れ、山出しをして矢筈トンネル程野口付近に安置していた直径62センチ余、長さ13メートル余の柱を同神社まで曳いた。
住民らは綱を握り、木遣り唄や消防団のラッパの音に合わせて、「ヨイショ」「ヨイショ」の掛け声。上の平、砂間、村の茶屋などを経て、昼過ぎに境内に到着した。
午後には本堂の脇に立てる建立を予定している。
上村中郷地区の獅子舞や子どもたちの太鼓グループも登場して花を添えた他、霜月まつりをきっかけに交流を深める同市鼎名古熊の名古熊獅子舞保存会の会員らも参加した。
同市立上村小学校6年の女子児童の一人(11)は、転校で地域を離れた数人の旧友たちと一緒に綱を曳いた。「懐かしい友だちに会えてうれしい。すごい人でびっくりした」と話した。
実行委員会の前島修正会長は「天気に恵まれ、大勢の人に参加してもらえて感謝の気持ちでいっぱい。高齢化が進む地区だが、300年余にわたる伝統を今後も維持できるよう努めたい」と思いを語った。
同御柱祭の起源は、古文書の焼失などにより定かではないが、300年以上前から休むことなく続けられているとされる。