飯田市竜丘地区 児童の「自由画」を保存 大正時代に作成

文化・芸能

[ 2015年 6月 19日 金曜日 16時47分 ]

 飯田市立竜丘小学校に保管され、地域を挙げて顕彰活動を進めている、大正時代に地元の児童たちが描いた「自由画」の原画保存が19日、始まった。原画は地元の370点に加え、1919年に同小で開かれた第2回全国児童自由画展覧会に県内外から集まった作品50点余。作者や題名などを記録して番号を付けた後、中性紙の保存箱に入れて保管する。年度内には作業を終了する見通しだ。

 上田市出身の版画家・洋画家の山本鼎(1882~1946)が提唱した「自由画教育」は、それまで画一的だった教育方法とは逆に、子どもの興味関心を中心に、より自由度の高い教育体験の創造を目指そうという動き。竜丘地区では明治・大正期にかけて青年活動が盛んで、木下紫水を中心に自由画教育を展開。同小学校でも熱心に取り組まれたが、戦争混乱期にその伝統が途絶え、長い間校内にある土蔵に作品が埋もれていた。

 こうした状況を受け、竜丘公民館は2001年度から自由画教育に関する学習を重ね、11年に同公民館民俗資料保存委員が中心となり「竜丘自由画保存顕彰委員会」を発足。公民館の特別委員会に位置付けて顕彰活動を行うとともに、作品のレプリカ(パネル)を作成して保存に努めてきた。

 今回は、長年懸案だった原画保存に着手。同委員ら約20人が参加して、同小自由画・考古室に保管される自由画の確認・分類作業を行った。84年に同小に赴任し、土蔵にある自由画の整理に努めながら保存を訴えてきた男性(75)は「絵を見れば当時の様子が伝わってくる。この日が来てくれてうれしい。地域で文化財を守るという精神が素晴しい」と笑顔だった。

 保存方法を指導した飯田市美術博物館の学芸員は「作品の質も良く、その時代をよく現している。自由な精神の始まりがこれだけ多く保管されている例は全国にもそうはない。非常に希で貴重なもの」と話す。委員長を務める下平勝熙公民館長も「保存は長い間念願だった」と喜び、地区基本構想基本計画に盛り込まれる資料館の建設について「夢に向かい、今後は地域の宝を世に広め、後世に伝えていきたい」と語った。

 同委員会は展示用にレプリカも300点余作成しており、現在、飯田信用金庫桐林支店で順次展示している。7月末まで。

  

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