阿南町新野で8月に行われる国重要無形民俗文化財「新野の盆踊り」に向けて21日、新野小学校で盆踊り講習会が開かれた。昨年は新型コロナウイルスの影響を受け約500年の歴史の中で初めて中止としたが、今年は規模を縮小して実施する。参加した同校児童や阿南第二中の生徒らは2年ぶりの開催を喜び、8月14日からの本番に向けて踊りや歌の練習に励んだ。
両校は毎年1学期の終業式に合わせ、踊りを伝承する「新野高原盆踊りの会」(山下昭文会長)を招いて講習会を開いている。この日は、児童生徒、職員、会員ら80人余りが参加。輪をつくり、「すくいさ」「高い山」「音頭」「能登」など7種類全ての踊りを踊り、所作の一つ一つを確認した。
幼少期から参加している中学生らは、踊りが始まるとすぐに勘が戻り、会員らと動きをそろえた。経験の浅い小学生らは、まずは踊りを楽しみながら、少しずつ動きを覚えていった。
新野の盆踊りは、笛や太鼓などの鳴り物を一切使わず、櫓の上で踊る「音頭取り」の「音頭出し」とその回りに輪をつくる踊り子の「返し」の声だけで行うのが特徴。毎年中学生も音頭取りに挑戦しており、3年生の生徒の一人(15)は「昨年は中止となり残念だった。今年は櫓の上で踊れるのが楽しみ。大きな声を出し、しっかりと踊りたい」と力を込めた。
例年は14日夜から17日の明け方まで毎晩、夜通し踊り明かすが、今年の踊りは14、15日の午後9時~午前0時までとする。17日早朝には「踊り神送り」を行う。参加者は地区住民に限る。
8月10日以降町内で新型コロナ感染者が確認された場合や、南信州広域圏の県独自の感染警戒レベルが2以上になった場合には中止する。
山下会長は「昨年はコロナの影響で中止せざるを得なかったが、住民から寂しい、悲しいという多くの声を聞いた。2年続けての中止となると、子どもたちの盆踊りへの興味が薄れてしまう恐れもある。規模は縮小しても踊ることで、若い人たちの中に、伝統を受け継ぐという思いを育んでもらいたい」と話した。
◎写真説明:踊りの練習に励む生徒、児童ら(新野小)