飯田下伊那地域の夏祭りの幕開けを告げる飯田市浜井町の冨士山稲荷神社の宵祭りが7日に執り行われ、悪疫の退散などを願う花火の大輪が飯田の夜空を彩った。コロナを踏まえて規模を縮小し、事前に自宅での観賞を呼び掛けた上で15分間限定で打ち上げた。
10月中旬までほぼ毎週、各地で繰り広げられる飯伊の祭りや花火大会の皮切り。花火など神賑行事の中止決定が相次ぐ中、祭りの由来を踏まえて「花火を上げないと祭りが成立しない」と判断し、悪疫(新型コロナウイルス)などの退散を願って時間限定の打ち上げを決めた。
開始時刻の午後8時には、降り続いていた雨は小康状態に。多彩な花火が夜空を焦がし、スターマインでは大小さまざまな大輪が彩った。
「むぎわら祭り」とも呼ばれる同祭は、かつての崇敬者らが収穫期を迎えた麦わらを持ち寄って松明(たいまつ)を作って燃やし、その煙で病害虫除けを祈願したことが由来とされる。例年は出店もあって近隣住民らでにぎわうが、今年はコロナを踏まえて見送った。花火の協賛金は募らず、15分間限定の打ち上げとした。
禰宜(ねぎ)の市原日貴(ひたか)さん(37)は「いろんな制約を設けての打ち上げとなったが、実現できたのは地域の皆さんの協力があってこそ。15分という短い時間ではあったがやって良かった」と話した。
◎写真説明:15分間限定で大輪の花が夜空を彩った