新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期していた「劇団雅」の旗揚げ公演が、12月13日に飯田市上郷黒田の姫宮林間学校で行われる。迫る舞台に向けて稽古にも熱が入っており、劇団を主宰する菊地由里さん(29)=飯田市羽場=は「コロナ禍で大変な状況だからこそ、大事な人に連絡を取りたくなるような舞台にしたい」と意気込んでいる。
旗揚げ公演のタイトルは「ここにも、誰にも」。夢を諦めて上京し、OLとして働く主人公の優紀が、母親の死をきっかけに帰郷し、地域の人たちとの交流を通じてもう1度夢に向かい挑戦する物語で、川路出身の俳優小林英樹さん(44)が菊地さんや自身の経験を基に脚本を執筆した。主人公は菊地さんが務め、一部の役は3人が交代で務める「トリプルキャスト」を採用している。
東京で演劇を学び、舞台などで活動していた菊地さんが「飯田に演劇文化を根付かせたい」と、2018年に立ち上げた同団。ことし2月には旗揚げ公演の出演者とスタッフを募るオーディションを行い、3月からメンバー27人で活動をスタートさせたが、コロナの影響で4月から5月末まで稽古が中断。当初8月に開催予定だった公演も延期になっていた。
中断時はWeb会議アプリ「Zoom」を使って台本の読み合わせを行い、再開後もコロナ予防に気を配りながら、公演を実現させようと稽古を積み重ねてきた。本番まで1カ月を切った現在は、週4回に稽古を増やし、最後の追い込みをかけている。
菊地さんは「稽古の雰囲気はとてもよく、キャストの一員として皆でやれているのが楽しい。主役として引っ張っていけたら」。指導する小林さんは「演劇初挑戦の人もいる中で、皆よくやっている。これから本番までにさらに仕上げていきたい」とそれぞれ力を込めた。
公演は午後1時、同3時半、同6時からの計3回。コロナ感染拡大防止の観点から観客数を制限して行うとともに、来場者には基本的な予防策の徹底を呼び掛けている。チケットは全席自由で前売り・当日券ともに1500円(学生1000円)。
問い合わせは菊地さん(電話090・2327・3047)へ。
◎写真説明:主演の菊地さんと脚本演出の小林さん