飯田下伊那地域の特産品「市田柿」の収穫、加工作業が最盛期を迎え、各農家に秋の風物詩「柿すだれ」がかかり始めた。加工が始まった10月末以降は晴天が続いており、日差しを受けてオレンジ色に輝く柿の乾燥は順調に進む。JAみなみ信州は24日の出荷開始を見込んでいる。
JAによると今年は7月の長雨、8月の干ばつなどの影響で落果や変形果が多く、原料柿の収量は平年比5%減になる見込み。昨年見られた大玉傾向はなく果実肥大は平年並みで、糖度も平年通り順調に上昇した。
市田柿の出荷量は、昨年が大玉傾向だったこともあり、前年比5%減の1100トンを計画する。
約83アールのほ場で栽培する飯田市座光寺の熊谷博人さん(66)方では、平年並みの10月25日に収穫を開始した。今年はほ場によって実付きや玉伸びにばらつきがあるものの、全体的な出来は「良好」といい、「糖度も高いので、このまま晴天が続いて乾燥が進めば、おいしい市田柿に仕上がるはず」と期待した。
JAによると、収穫、加工の最盛期は今月中旬まで続く。標高の高い所では下旬まで行われる。つるしから約1カ月で出荷が始まり、12月中旬には県内外各地の売り場に並ぶ。
市田柿は2016年7月、県内で初めて国の地理的表示(GI)保護制度に登録された。JAではさらなるブランド化に向けて販売強化を図っており、海外輸出にも積極的に取り組んでいる。本年度は、台湾、香港を中心に100トンの輸出を目指す。
◎写真説明:柿すだれをかける農家(飯田市座光寺)