三遠南信地域の8信用金庫(飯田、アルプス中央、浜松いわた、島田掛川、遠州、豊橋、豊川、蒲郡)は11日、第14回三遠南信しんきんサミットをオンライン開催した。三遠南信と縁がある慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究所の岸博幸教授は講演の中で、ポストコロナの課題について「生産性の向上だ」と強調。デジタル化、イノベーションの創出、ビジネスモデルの進化をポイントに挙げた。
岸教授は過去に飯田市のリニア未来都市ブランディング事業に関わり、現在は浜松市の都市政策アドバイザーを務めている。同じくアドバイザーとして関わる総合格闘技「RIZIN(ライジン)」の主力選手は豊橋市出身とあって、同市に親しみがあり「このエリアの皆さんに話ができるのはいい機会」と切り出した。
長引くコロナ禍について岸教授は「今年から状況が変わり、アフターコロナが始まる」と断言した一方「コロナで日本経済が悪くなったのでなく、コロナ以前からずっと悪い。世界的に完全な負け組だから、地域経済は衰退して当たり前」と指摘した。
経済のパイは過去30年間で米国が3・5倍、韓国が9・6倍、中国が54倍に増えたのに対し、日本が16%増にとどまった要因は「昭和を延長し、グローバル化とデジタル化をフルに活用しなかったため」と分析し、「経済と社会の構造変化が起きるコロナ後は遅れを挽回し、生産性を上げる絶好のチャンスだ」と行動を促した。
ポイントの一つに挙げたイノベーションの創出は「全く新しいものを創造するのでなく、既に世の中に存在するものの新しい組み合わせをつくること。『地域に若者が少ないからできない』は言い訳でしかなく、どんな田舎でも、どの産業でも創出できる」とし、自身が関わる沖縄県国頭村(くにがみそん)、福井県鯖江市の事例も紹介した。
イノベーション創出の重要なポイントとして「多様な人材を集めること」も挙げ「地域の特性を生かして豊橋はヤンキー、飯田はオタクを活用するといい」とアドバイスした。
◎写真説明:講演する岸教授