飯田下伊那地域の産地でマツタケの収穫が早くも始まり、豊丘村役場に隣接する飯伊森林組合北部支所や販売店に近隣の農家らが持ち込んでいる。8月の長雨に加え、最高気温が30度を下回る日が続くなど生育に適した気候となっていることから、関係者は「この天候が長く続いてくれれば」と願っている。
県内産キノコを取り扱う同村河野の「浅井商店」(浅井一昭代表)には、先月27日に今シーズン初の持ち込みがあった。例年と比べて10日以上早い初入荷だが、村内や上伊那郡中川村産を中心に毎日1、2キロが入荷され、長さ20センチの立派なマツタケも持ち込まれたという。浅井代表は「今年は9月下旬から10月上旬が最盛期になるのでは」とみている。
既に全国から注文が集まっており、18日からは完全予約制でマツタケ料理の提供も始める。2019年は記録的な不作、20年も収穫量が例年を下回って「注文をお断りするケースも多かった」だけに、「雨がしっかりと降って気温も低めで、条件はここ2年より断然いい」と期待を寄せている。
森林組合北部支所も豊丘村を中心に松川、高森、喬木の近隣町村から毎日5、6キロの入荷があり、今月中旬から直売所での販売を始める予定。金原史人支所長によると15センチほどの「この時期にしては大きい」サイズの入荷もあり、「いいスタートを切れたのではないか。暑さがぶり返すことがなければいいが」と話していた。
マツタケはアカマツの根元に菌が集まった「シロ」を作り、涼しくなると菌が活発になって発生する。
朝夕の気温が20度以下であることがマツタケに適した生育条件。地温が下がったことで出始めたものの、菌が活発化した後で再び気温が上がると菌が死ぬこともある。
◎写真説明:森林組合北部支所でも持ち込みが始まった