信南交通(飯田市大通、中島一夫社長)を含む中央高速バス「伊那・飯田―新宿線」協同運行6社は、3月1日から同路線に新運賃制度の「カレンダー運賃」と「ダイナミックプライシング」(変動運賃)を導入する。曜日により運賃が異なるカレンダー運賃の導入は実質的な値上げとなるが、ウェブで予約・決済をする場合、利用者が少ない便は割引運賃で乗車できる。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う利用者の減少に加え、車両の更新、高齢化が進む運転士の担い手確保などの課題も山積する中、輸送力を維持しようと新運賃制度の導入に踏み切った。
松川・飯田―バスタ新宿の運賃は現在4400円。3月1日以降、窓口と車内で支払う場合、月曜~木曜は200円増の4600円、金・土・日曜と祝前日・祝日は400円増の4800円となる。
繁忙期運賃を適用していた5月の大型連休や盆、正月は「特定日」とし、5000円に設定した。
スマートフォンやインターネットで乗車券の予約決済をする人が対象となるダイナミックプライシングは、カレンダー運賃を上限に、需要に応じて運賃が変動。乗客が少ない便の運賃は、AI(人工知能)の判断で最大4000円まで値下げする。
同社は「ダイナミックプライシングはサービスの一環として取り入れるもので、お客さまの選択肢が増える。特定の便への予約集中が解消されれば事業コストも抑えられ、利用者・事業者双方にメリットが期待できる」としている。
カレンダー運賃とダイナミックプライシングは、他社が松本―新宿線、名古屋―新宿線で1年ほど前から導入している。ダイナミックプライシングは、航空運賃やホテル・旅館の宿泊代が変動する仕組みに近い。
新運賃制度の導入に伴い、2枚回数券は廃止する。