おひさま進歩エネルギー(菅沼利和社長)と飯田まちづくり電力(原勉社長)が共同設立した野底川市民発電(菅沼利和社長)は26日、南信州地域としては初となる市民出資型小水力発電「野底川小水力発電所」の安全祈願祭と起工式を飯田市上郷黒田の野底山森林公園奥にある建設予定地で開いた。来年初めの稼働開始を目指し、本格的な建設工事が近く始まる。
一級河川野底川の砂防えん堤に取水設備を設置し、地中を通す全長約1キロの水圧管路で下流の発電所まで水を送って発電する仕組み。既存のえん堤と約80メートルの落差を利用することで、工事を最小限に抑えている。
年間想定発電量は、一般家庭約700世帯分に相当する2120メガワット時を見込む。
出資は昨年8月に呼び掛け、地元と全国の166人から1億5000万円が寄せられた。総事業費は約5億円。県の補助金も活用し、地元金融機関の融資も受けている。
建設予定地周辺では立木の伐採がほぼ終わり、抜根に続いて工事を始める。
発電所の建屋を設ける野底山森林公園のゲート奥で開いた安全祈願祭と起工式には、社員と上郷まちづくり委員会、上郷野底山財産区、飯田市、施工業者など13人が出席し、工事の安全を祈願した。
菅沼社長は水力発電を有望視しており、全国的に知られる太陽光発電に続く中山間地域の自然エネルギーとして普及させたい考え。
足掛け4年がかりで準備を進めてきた菅沼社長は「ようやく工事が始まることになり、身の引き締まる思い。1年後の発電開始まで温かく見守ってもらえたら」とあいさつした。
市内ではこれまでに、大井井水管理組合とマルヒによる伊賀良井用水マイクロ水力発電所が稼働している。
◎写真説明:神事に臨む菅沼社長