天竜舟下り事業の継承を巡り、南信州観光公社(高橋充社長)は20日、臨時株主総会を飯田市内で開き、信南交通からM&Aの手法による分社型分割方式で事業を受け継ぐ手順を株主に説明した。高橋社長は地域全体で舟下りを残す必要性を強調し、理解と協力を求めた。
南信州観光公社は、信南交通が今後設立する舟下り事業部門「南信州リゾート株式会社」の株式を取得して100%子会社とし、特定の関係者を対象にした第三者割当増資で資金調達を図る方針。事業の開始時期は未定。船頭を含む天竜舟下りの元従業員16人のうち、希望者は雇用する。
総会は非公開で開き、事業継承組織「南信州リゾート株式会社」の設立検討案を示して株主の同意を得たほか、これまでの経過、和船文化の伝承と新たな中流域観光振興に向けた事業の方向性、今後の進め方、南信州リゾートが手掛ける11の事業展開について説明した。
南信州リゾートは和船下りに新しい魅力を加え、体験プログラムとしてリニューアルするほか、▽和船文化伝承のためのガイダンス施設機能の設置▽ラフティングやパックラフトなどのリバースポーツアクティビティの実施▽サイクルツーリズム、ナイトミュージアムなど新しい動きと連携した商品企画の造成▽天龍峡ガイドサービス▽天竜川食堂・カフェの運営―など11の事業を計画している。
株主は採算の見通しや買収に必要な費用、スケジュールについて質問したほか、株主となっている市町村への説明も求めた。公社は11の事業を確実に進め、可能な限りに速やかに進めていくなどとした。
取材に応じた高橋社長は「舟下り観光は地域を支えた替え難い観光資源であり、火を消してしまえば多くの影響が出る。地域が一丸となって知恵を絞り、いろんな工夫をする中で、よりよい形でつないでいくことがDMOの使命。『もやい』の結び直しを契機に相乗効果を上げたい」と述べた。
◎写真説明:天竜舟下り(昨年10月)