飯田下伊那地域で食品スーパー9店舗を展開するキラヤ(本部・飯田市松尾上溝)は、不採算店の本町店(同市本町)を3月31日を最後に閉店する。1日に店頭で告知し、閉店後は4月中旬に新設する「宅配店」で買い物支援にあたる方針。
1月の最終役員会で正式決定し、2月中にビルを運営する第三セクターの飯田まちづくりカンパニー、存続を求める署名活動や購買運動を展開してきた橋南まちづくり委員会のほか、飯田市にも伝えた。
4月末までに現状回復工事を終えて退去する予定で、従業員(パート)は閉店を機に退職する2人を除いて全員を継続雇用する。
宅配の注文は、毎週火曜と金曜の午前9時から午後1時まで電話で受け付け、同日正午から午後5時までに黒田店から委託業者が届ける。「丘の上」と呼ばれる市街地を対象エリアとしている。
配送料は一律330円(税込み)。全店共通のチラシをもとに1品から受注し、数量などの細かい要望にも対応する予定。支払いは現金のみ。
同社では「地元をはじめとする利用と協力に感謝しているが、来店客数と売上の改善がなく、大変心苦しいが、閉店はやむを得ないという結論になった。閉店後は宅配業務でスーパーとしての役割を十分果たしたい」と説明。「販売ノウハウや什器(じゅうき)の提供など、できる限りの協力もしたい」としている。
本町店は2001年11月にオープン。昨年同月に20年契約が満了した。キラヤは同年5月に契約を更新しない意向を飯田まちづくりカンパニーに伝え、10月には文書で通知した。
橋南まちづくり委員会の竹内文隆会長は「地域の日常生活に大変深刻な影響が及ぶことになる。本町店で買い物をする人たちからは、今後の生活への不安をよく聞くようになった。行政にも支援をお願いし、早急に解決策を検討したい」と話した。
飯田まちづくりカンパニーの原勉社長は「がっかりしている。店を必要としている住民の皆さんの生活に影響がないよう、行政にも相談しながら努力していきたい」とコメントした。
◎写真説明:3月31日で閉店するキラヤ本町店