飯田女子短期大学(飯田市松尾代田)の学生が、下久堅の伝統文化「ひさかた和紙」の新商品を開発した。学生とひさかた和紙とのコラボ商品は初。食事の際に敷くランチョンマットを和紙でつくった。学生がデザインを考え、布の染技法の一つ「摺込(すりこみ)」で染め上げた。3日に発表会を開き、ひさかた和紙の会にでき上がったマットを渡した。6日から下久堅公民館窓口で販売を始める。
開発したのは家政学科家政専攻の学生6人。昨年12月、染織などを教える准教授の田中洋江さんの講演を聞き、ひさかた和紙の会から話を持ち掛けた。田中さんの呼び掛けで有志の学生が集まった。
ランチョンマットはA3サイズで、6人で13種類計16枚を作成した。学生たちは型紙に絵柄を描いてカッターで切り抜き、和紙の上に型紙を置いて、刷毛で切り抜かれた部分から和紙に顔料を摺り込んでいった。授業や試験の合間をぬって、1日に2時間ほど、数日かけて完成させた。
学生たちは夏をイメージしてビールやかき氷を描いたものの他、藍色で和柄を表現。2つの型を合わせてツバキの白い花を描いた作品もある。端には手漉き和紙ならではの耳があり、和紙に合わせて顔料も天然素材を使った。
3日の発表会には4人の学生が出席。下久堅地区まちづくり委員会副会長の滝沢和彦さんに完成させた16枚を手渡した。
平沢愛華(まなか)さん(19)は「和紙は繊細なので優しく色を入れるよう心掛けた。本物の和紙を染めるという貴重な経験ができた」、田屋亜沙美さん(22)は「普通の紙とは違うぬくもりを感じてもらえたら」と話した。滝沢さんは「若い人の発想が新しい展開につながれば」と話した。
6日の飯田まつりで披露予定だったが中止になったため、同日から下久堅公民館で販売を始める。1枚1200円(税込み)。今後は地域の声を聞きながら洗練させ、ブックカバーや季節のお祝い品なども作っていきたいとしている。
◎写真説明:ランチョンマットを開発した飯田女子短大の学生ら