飯田産のマトン(羊肉)を使ったカレーライスの提供が12日から、飯田市中央通りのカレー専門店「土星トルネード」で始まった。1日限定10食とし、肉がなくなり次第終了する。
焼き肉で飯田を盛り上げるイベント「焼來肉(やきにく)ロックフェス」の運営に携わっている店主の山田淳さん(43)が「飯田の焼き肉はマトンが特徴という割には、肉は地元産ではない」という他地域出身者の声を聞き「地元産のマトンを少しでも提供できないか」と考えたのが開発のきっかけ。
「飯田焼肉」を生かした地域振興でつながりのあるマルマン取締役の中田泰雄さん(44)と精肉店を介して、サフォークを飼育する「きくちゃん農園」(北方)の鈴木喜久夫さん(51)と5月に知り合い、思いが合致してメニュー化にこぎつけた。
メニュー名は「南信州・飯田産サフォークビンダルー」。今回の提供分には1歳半のヒツジを使い、飯田産マトンの柔らかさと味の濃さを楽しんでもらえるよう、できるだけシンプルなスパイスカレーにした。
試食した鈴木さんは「スパイスと肉が合っていて、ヒツジの味がしっかり出ている」と味に太鼓判。山田さんは「飯田産マトンがあるということをまず知ってほしい」と話している。
飯田下伊那では1959(昭和34)年に羊毛採取用の綿羊から食肉用への切り替えが推奨され、地元産の羊肉が販売されていたが、昭和30年代後半から輸入が始まった豪州産に押されて以降は飼育が下火になった。
鈴木さんは遊休農地対策と鳥獣被害対策を兼ねてヒツジを飼うようになり、現在は12頭を飼育している。
飼育の拡大と安定流通の可能性については「自分一人で飼える頭数には限界がある。仲間を増やして一緒に取り組めば…」との見方を示した。
南信州・飯田産サフォークビンダルーは、1食税込み2500円。
◎写真説明:飯田産マトン入りのカレーを試食する鈴木さん