飯田下伊那地域の果樹・園芸農家でつくる下伊那園芸農業協同組合(伊藤俊一組合長、正組合員数287人)の2021年度の販売総額が過去12年で最高となる9億9824万円(前年度比19・1%増、計画比10・5%増)だったことが分かった。14日に飯田市内で第74回通常総会を開き、報告した。
昨年度は8月の長雨や日照不足の影響などがあったものの甚大な天候災害はなく、多くの品目で数量が前年度を上回った。全国的な果実の不作で、単価は総じて高値基調だった。
品目別の販売額では、総額のおよそ半分を占める市田柿が需要に合った出荷となって計画比5・2%増。ナシは他産地の不作で、計画比27・1%増と堅調な販売となった。リンゴは長雨日照不足や病害虫被害などで数量が減少し、計画比4・8%減。モモは病害や台風の影響が少なく数量が確保され、計画比11・3%増だった。
事業利益50万円(前年度比30・0%減)を確保。事務経費の削減や効率的な事業運営により事務経費を抑えた。経常利益は104万円で前年度比45・6%減。購買事業の取扱総額は2億9463円で2・9%減だった。原油高による資材高騰に対し、早期注文による発注で値上げ幅を抑えた。
本年度事業計画では、販売総額9億5907万円(前年度比3・9%減)を見込む。生産性、収益性の向上のため、省力的な栽培技術・生産方法を推進する。研修会の開催やハローワークなどの行政機関との連携で担い手の育成と確保を図る。遊休農地対策としてサツマイモ栽培と干し芋加工、花木の栽培の検討、普及を推進する。
販売面では、産直、カタログ、業務用など多角的な販売に力を入れる。昨年6月に立ち上げたインターネットショップ「南信州あおぞらマーケット」での販売拡大を目指す。需要動向、物流問題に対応した出荷先の集約・分散、出荷規格の検討を行う。
伊藤組合長はあいさつで「新型コロナのまん延のみならず、資源価格の高騰、物価上昇など厳しい時代になっている。『下伊那園協ブランド』の維持のため、消費者との信頼関係を築いて安心安全な果物を提供していく」と述べた。
総会では、前年度事業報告や本年度事業計画など4議案を原案通り可決した。
◎写真説明:下伊那園協が総会