飯田市南信濃の食肉製造販売「肉のスズキヤ」(鈴木理社長)は9月29日、道の駅遠山郷内の観光案内所「アンバマイ館」に、羊肉や鹿肉など5種類の冷凍肉を扱う自動販売機を設置した。鈴木社長(60)は「肉の販売機は飯田市内で初めて。自販機メーカーからは全国的にも珍しいと聞いている」と話し、「新たな販路になるとともに、地域に人を呼び込むきっかけの一つになれば」と期待を寄せる。
昨年からの新型コロナウイルス禍に「何もしなければ、売上は30~40%落ち込む」と危惧した同社は、新商品の開発やインターネット販売の拡充などに注力。ネット販売が堅調に推移したことで、昨年の売上減は10~15%にとどまった。
自販機は、コロナ禍に対応した非接触式の新たな販売方法として検討。「もの珍しさが話題となり、地域が活気付けば」と設置を決めた。
アイスクリーム用の自販機を改造し、導入費用は約150万円。4月に発注したがコロナ禍に自販機の需要も高まっており、納品待ちの状態が続いていたという。当初は8月29日の「焼き肉の日」に合わせた設置を計画していたが、コロナの感染警戒レベルが上がり観光案内所が休館となったため延期。「苦肉の策」の語呂合わせで9月29日を新たな稼働日に選んだ。
自販機では、同社の定番商品味付け肉の「遠山ジンギス」をはじめ、昨年12月から販売を開始し、今年7月には特約店となって仕入れるアイスランド産ラムの味付け肉などを購入できる。売れ行きを見ながら商品の入れ替えも行う。
鈴木社長は「新たな販路の開拓という面もあるが、道の駅の活性化に向け、人の関心を呼ぶための具体的な行動を取りたかった。少しでも地域の活気につながれば」と話した。
◎写真説明:アンバマイ館内に設置した肉の自動販売機