飯田下伊那地域の特産品「市田柿」の生産過程で生じ、多くが廃棄処分されている柿の皮を有効活用しようと、松本大学と県内の民間企業、高森町が連携し、新たな食品素材「市田柿皮ピューレ」を開発した。6日から同町の日帰り温泉施設「御大の館」で、ピューレをかけたソフトクリームの販売を開始。お盆過ぎをめどに、中央道駒ケ岳サービスエリア、小黒川パーキングエリアなどでの販売も予定している。
開発の中心を担った松本大学人間健康学部の矢内和博准教授(50)によると、柿の皮をすりつぶしてこした後、液糖を加えて製造。柿の渋みを抜きながら、風味を残すことに注力したという。
矢内准教授は、年間約2300トン出荷される市田柿に対し、廃棄される実や皮の量は約1000トンと指摘。「皮には多くの実が付いており、約1000トンの皮が廃棄された場合、その糖質を砂糖に換算すると、約130トン、価格で約2000万円分に相当する。活用を進める価値は大きい」と力を込める。
今後、原材料となる柿の皮を調達する仕組みの構築や、関連商品の開発・販売、取扱事業者の拡充などを進める計画で、「新たな商品群を通じて市田柿の魅力を高め、後継者の確保など生産振興に寄与できれば」と話した。
◎写真説明:ソフトクリームにペーストをかけて販売