飯田市の中心市街地を南北に縦断する都市計画道路羽場大瀬木線(県道飯島飯田線)の切石―北方工区が14日に開通した。新型コロナウイルスの感染防止のため、開通式は中止になったが、沿道には地域住民らが集まり、開通の瞬間を見届けた。
同工区は幅員22メートルの4車線道路で総延長660メートル。2005年に着工し、16年に100メートルが開通していた。今回開通したのは切石体育館前交差点から大井交差点までの560メートルの区間で、開削トンネルの北方トンネル(80メートル)を含む。総事業費は約55億円。
羽場大瀬木線は県道飯島飯田線の先線で、同市の羽場と大瀬木地区を結ぶ。都市計画決定は1967(昭和42)年で、53年を経ての全線開通となった。今後はリニア中央新幹線の関連工事で発生する残土の運搬路としても使用される。
開通時刻の午後3時には切石側から打ち上げられた花火を合図に供用を開始。県飯田建設事務所のパトロールカーに先導された車が次々と通行した。
近くに住む女性(72)は「市街地と伊賀良を結ぶ道路が通ると聞いてから半世紀が経ち、ようやく完成したかという思い。妙琴公園前交差点付近は朝晩渋滞して不便だったのでこれから良くなれば」と期待を寄せた。
育良保育園(同市北方)の園児たちも開通の様子を見届けた。同保育園では前日にトンネル内の見学に訪れており、この日は土曜保育などを利用する園児たちが足を運んだ。金澤ルミ子園長は「ちょうど雨も止み、皆で開通を見届けることができた。トンネル内の壁には卒園した園児たちが描いた絵もあり、子どもたちも身近に思ってくれているのでは」と話していた。
◎写真説明:開通を見届けた育良保育園の園児たち