天龍村は3日、買い物弱者対策として村内の11事業所が扱う商品の注文を受け付け、自宅まで配達する「買い物ご用聞き」事業の出発式を開いた。6月15日からの試行期間を経て、この日から本格的に運用を開始。事業愛称「やまびこデリ」の名の通り、「呼べばすぐに応える」支援を目指す。
独居高齢者らの利用を見据え「見守り活動」の側面を持つことから、村社会福祉協議会が実施主体となる。村地域おこし協力隊の西野明花さん(25)、集落支援員の柳澤通子さん(52)の2人が注文の受け付けから配達までを担う。
生鮮食品や日用雑貨など600点余の商品を載せたカタログを全戸に配布し、注文に応じて配達は地区別に5ルートを設定。月~金の各曜日ごと週1回行う。
試行期間中には74回の配達依頼があった。西野さんは「配達先で温かい声を掛けていただき、あらためてやりがいを感じた」という。一方で「それぞれ地域のつながりの中で、工夫しながら買い物を行っている様子も見てとれた。そうしたつながりの一つとして加わり、利便性の向上に役立ちたい」と意気込んだ。
柳澤さんは「独居の高齢者など、会話を楽しみにしてくださる方もいた。見守り活動としての役割も積極的に果たしていきたい」と力説。「まだまだ注文を遠慮されている様子もある。気軽に配達を利用してもらえる環境をつくっていければ」と話した。
村は2019年に「買い物弱対策に関する拠点施設設立準備委員会」を立ち上げ、新店舗の設置に向けた検討を進めてきたが、難航している。「高齢者を中心に、買い物に行く足がなく、困っている人たちの支援は急務」として、ご用聞き事業に先行着手した。
食品や生活用品などを扱う拠点店舗は現在、JR平岡駅前に建設するマンション型単身用住宅に併設する案が検討されている。
◎写真説明:事業愛称が発表された出発式