都市部ではマスクの流通量の増加が報じられている。飯田下伊那地域でも変化が見られ「大型連休明けぐらいから需要は落ち着いた」との声が聞かれた。一方、ドラッグストアなどでは未だ不安定な入荷が続く。今後の需要を見据え、薄手の夏マスクの制作に取り組む店もある。
連休明けから需要落ち着く
高森町下市田の総合衣料小売業「マルマン」は、4月1日にマスクの特設コーナーを置いた。片桐日出樹社長は「4月頭に不織布マスクが入り、数を制限して販売した。宣伝はしなかったが、ものすごい勢いで売れ、怖いくらいだった」と振り返る。
手作りも販売し、早朝から出勤して作った。1日300個ほどが限度で、すぐに売り切れた。4月は休みがなかったが、売り上げは昨年同月比で2倍以上になった。
4月下旬には不織布マスクが大量に入荷できたという。「東京など県外に住む家族のために送ってやりたいという人が多く、4、5箱買っていった。需要は4月がピークで、大型連休明けから落ち着いた」。
ドラッグストアやコンビニは不定期
一方、飯伊のドラッグストアの多くでは「混乱回避のため、開店時からのマスクの販売は致しません」などの張り紙がはられ、未だ空の棚が目立つ。市内の店舗は「コロナの問題が大きくなって以降、マスクは入ってきていない」とする。
コンビニでも品薄が続いている。市内の店主は「常時200枚あったマスクが2月後半くらいから一気になくなった。その後は週に20枚ほどの入荷でほぼ欠品状態。5月18日ごろに別ルートで50枚入りを並べ始めたけど、不定期だ」と語った。
飯田市街地で店を経営し、マスク事情を知る社長は「飯田から無くなったのは2月頭から」とし、「供給が増えたのは、規格外のマスクが出回っているから。大半のウイルスを通さないとされる規格を満たしたものは値段は下がっていない」と状況を説明した。
熱中症対策で夏マスク制作
今後もマスク着用が求められる中、暑い時期のマスクは熱中症になる恐れが指摘されている。マルマンでは、熱中症予防に有効な夏マスクを販売している。
綿100%で肌触りが良く、薄手なので暑い時期でも快適という。片桐社長は「取引先のメーカーにも制作を依頼している。日本製なので生地が良い」と話す。
子ども用も作り、年齢に合わせてさまざまなサイズを用意した。
生地の柄も豊富にそろえる。マスクで使用した生地やゴム、糸も販売しており、「自分も作ってみたよ」と完成品を見せに来る客もいるという。
片桐社長は「不織布を夏に着けるのは暑い。布マスクは繰り返し使えるので、ごみの削減で環境にも良い」とし、「世の中のピンチをチャンスに変えることができた。第2波も考えられるので、役立つものを考え貢献できれば」と話した。
◎写真説明:マスクを買い求める人々(高森町下市田のマルマンで)