松川町、阿智、下條村の3町村による「合同人財育成事業」の中間報告会が19日、阿智村コミュニティ館であった。3町村の職員や住民ら約40人が参加。論理や情報収集、多様な意見を聞くことなど、これまでの研修を通じて学んだことを発表した。
育成事業は社会が多様化し行政の役割も変化する中、「状況に柔軟かつ的確に対応し、地域づくりを進められる人財を育成する」との狙いで、2020年11月に開講。各町村の若手職員が参加し、2年間にわたって研修を重ねる。
研修ではマーケティング論など分析や実践に必要な専門知識を学び、ゴールとして課題解決に向けた具体的な政策提言をする。NPO法人南信州山都共同社中が授業を受託し、マーケティングフォースジャパン(本社・東京都)が講師を務めている。
各町村で選ばれた住民も住民自治に向け研修講座を受けており、2年間の中間として職員と住民が初めて合同で発表会を開いた。宮下智博松川町長、金田憲治村長、熊谷秀樹村長も出席した。
阿智村の職員は「浪合のトウモロコシをもっと売るには」をテーマに研修を進めた。「単純に情報を見るのではなく、多角的に情報を収集することで、新たな目標や課題が見えてくる」とし、「どの分野にも共通して大切。行政に生かしたい」と述べた。
下條村の職員は学んだこととして「論理的思考」「事実をつかむこと」の2点を強調。グループワークを通して▽相手の視点▽事実に基づく根拠▽納得解の模索―の3つを学んだとし、「どんな事業を、誰のために、何のために具体的に考え、さまざまな意見を聞き、できるだけ多くの人が納得できる方向へ導くことが行政の役割だ」と述べた。
松川町の職員はシードルの販売戦略を考え、研修の前と後で戦略が変わったと指摘。「対象をよく知り信憑性ある情報を集める情報収集力、集めた情報を整理する整理分析力、ターゲットや目的を明確にする課題設定力の3つを学んだ」とした。
住民発表では4人が代表して発表。マーケティングや対話の重要性を学んだ成果として挙げ、阿智村の石原洋介さんは「地域や周囲の困りごとを『利他の精神』で解決していきたい」と述べた。
◎写真説明:合同人財育成事業の中間報告会(阿智村コミュニティ館で)