米ミドルベリー大学日本校の留学生12人が23、24の両日、フィールドワークのため天龍村に滞在した。同村坂部地区に伝わる伝統の保存食「柚餅子」や地域活性化に取り組む人たちとの交流を通じ、アメリカの大学生が日本の農村の文化・生活への理解を深めた。
村と交流がある国際基督教大学(東京都)内に日本校がある縁で、2017年から持続可能な地域づくりを学ぶために村を訪れている。新型コロナウイルスの影響で、現地を訪問しての活動は3年ぶりとなった。
24日は、長年にわたって柚餅子の生産と継承に努めてきた関京子さん(87)方で柚餅子作りに必要なユズの収穫を体験。元地域おこし協力隊員でつくるNPO法人「ツメモガキ」のメンバーや村職員とともに、枝ばさみを延ばして高所の実の採取に挑戦した。
留学生らは慣れない道具を使っての作業に悪戦苦闘しつつも、関さんから「枝ごと切り落とすつもりでやって」などアドバイスを受けて試行錯誤し、1時間ほどで約30キロのユズを収穫した。
米ノースカロライナ州出身のソフィア・ウィティグさん(19)は「故郷も天龍村と同じ山の中にあり、どこか懐かしい感じがする。ユズの収穫や食べたことのない食べ物に挑戦したりと楽しい」と笑顔。関さんは「大勢の若い人が来てくれてありがたい。日本の山村にはすごい歴史がいっぱいあるので、少しでもそういう文化に触れてもらえれば」と期待した。
この日は地域住民や現役の協力隊員らも交えて昼食をとった。五平餅づくりにも挑戦し、地域の伝統に触れた。坂部の雪祭りや地区の歴史についても学んだ。
江田早苗校長は「天龍村の地域おこし協力隊は、卒業した後も定住して地域活性化に取り組んでいる人が多い。交流を通じ、帰国後に自分ができる地域づくりのヒントにしてほしい」と話していた。
◎写真説明:枝ばさみでユズを収穫