松川町とJR東海は26日、松川中央小学校で交通安全教室を開いた。JRのリニア中央新幹線建設工事に伴う発生土運搬で、1日に平均片道200台余の大型車両が町内を通行していることを受け、「子どもたちを事故から守ろう」と企画。5、6年生約180人を対象に、死角や内輪差など大型車両特有の危険性を伝えた。
町内では2021年10月からリニア発生土を運搬する大型車両の通行が始まり、同校前など通学路も走行している。この日の教室で児童一人一人が大型車両の運転席に座り、車両の周りに置いた三角コーンのうち、見える箇所、見えない箇所を確認。車両のすぐ前や真後ろ、斜め前方や後方と、見えない「死角」が多くあることを理解した。
実際にカーブを曲がる車両を見ながら、前輪が通ったところよりも後輪が内側を通る「内輪差」の説明も受け、交差点の横断時などに巻き込まれないよう、車両から距離を取ることの大切さを学んだ。
JRによるリニア中央新幹線についての説明や、飯田署による自転車の安全講習も合わせて行われた。6年の女子児童の一人(12)は「リニアに早く乗ってみたい」と関心を高めた様子。男子児童の一人(同)は「ダンプカーの死角が思っていたよりもたくさんあってびっくりした。今まで知らなかった危険性を知ることができたので、普段から気をつけていきたい」と話した。
宮下智博町長は「多くの大型車両が通行することに対する不安の声はある。身を守るためにどうすればいいのか、子どもたちが危険性を体感しながら学ぶことができた。学年の小さな児童にもぜひ伝えてほしい」と期待。JR東海長野工事事務所の杉浦禎信所長は「運転手には常に安全運転の徹底を求めているが、さらに安全を確保するため、子どもたちに事故から身を守るための方法を知ってもらいたい」と話した。
リニア発生土運搬の沿線地域で同社が地域と連携して開く交通安全教室は、県内では今回が初めて。同町北小学校でも2月に同様の教室を計画している。
◎写真説明:運転席から死角を確認する児童